2020 Fiscal Year Research-status Report
「顔」の表象からみる詩的言語と近代化の関係ー仏サンボリスムと日本近代詩比較研究
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19K00500
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Research Institution | Gunma Prefectural Women's University |
Principal Investigator |
井村 まなみ 群馬県立女子大学, 文学部, 教授 (60315695)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肖像 / フランス象徴主義 / 日本近代詩 / 詩的言語 / 顔 / 写真 / 近代化 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会状況の変化のため、申請書に記した研究概要に修正を施すことになった。2019年夏に行ったフランス国立図書館に於ける調査を継続し、シュールレアリスムについての論考を発表する予定であったが、2020年度は渡仏が不可能であったこと、また、発表を予定していた学術雑誌が2020年に廃刊になったため、修正せざるを得ない状況である。 代わって、日本国内で行える調査と考察を行った。研究テーマであるフランス象徴主義の詩作品に隣接する、同時代の小説作品について、小説に於ける「顔」「肖像」「写真」の表象の分析と考察を行い、成果を「『感情教育』に於ける「肖像(画)」の問題」として『群馬県立女子大学紀要』第42号、p.1ー12(2021年2月)に発表した。これは、「ボヴァリー夫人に於ける「肖像画」―配置と機能―」(『群馬県立女子大学紀要』第40号、p.13ー22(2019年2月)の延長に位置するものである。さらに、2020年11月にJudith Wulfから執筆参加依頼を受け、Melanges Steve Murphy への投稿準備を始めている。フロベールの作品に於ける、「顔」、「肖像画」、「身体」、「写真」の関係をまとめる予定である。なお、散文作品の「近代化」との関連については、日本リアリズム研究会主催のシンポジウムー第2回 2020年1月12日(日)「交通と文学 ― 鉄道の時代としての19世紀」(慶応義塾大学日吉キャンパス)、第3回 2021年1月24日(日) 「室内 ― 私空間の近代」(オンライン開催)ーに出席し、知見を得ている。また、関係分野の研究者と意見交換を行った。坪井秀人氏(国際日本文化研究センター)より、示唆に富んだコメントを受け取っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
教育面での感染症拡大予防の対応として、勤務校では2020年度を通じて授業形態を急遽オンラインに変更したため、授業準備と学生の指導に予定外の時間を割くことになり、予定していた課題研究のための時間を確保できなかった。また、予定していた文献調査のための海外出張が不可能であったうえ、美術館・展覧会が中止となり、見学ができなかった。発表を予定していた学術雑誌『流域』(青山社)が廃刊となった。これらの理由により、テーマについて現状況でできる研究を行っている。「延長承認申請書」を提出する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年年頭より始まった感染症拡大とその防止対策に従い、勤務校の規定により、海外渡航が禁じられ、予定変更を余儀なくされている。今後も予断を許さない状況であり、渡航の予定を立てることは不可能である。そのため、日本国内で行える調査・研究を進める。2020年度に行った研究を展開し、フランス象徴主義に隣接する散文作品の分析と考察を続ける。同様に、日本近代詩との比較を具体化する。
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Causes of Carryover |
社会状況の変化により、予定していた出張が行えなかったため、旅費から次年度使用額が生じた。今年度は文献購入、物品購入に充てた。今後は国内出張にも充てる予定である。「延長承認申請書」を提出し、改めて使用計画を立てる予定である。
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