2020 Fiscal Year Research-status Report
メコン川流域の叙事詩『ターオ・フン、ターオ・チュアン』の研究
Project/Area Number |
19K00514
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
宇戸 清治 東京外国語大学, その他部局等, 名誉教授 (30185053)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ターオ・フン、ターオ・チュアン / メコン川流域 / 英雄叙事詩 / ラオス古典文学 / 東南アジア文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は2019年12月と2020年3月の2度にわたり、タイ及びラオスでの現地調査、研究者との学術交流、関連資料収集、3年間の研究の基礎となるデータベースの作成で大きな成果があり、当初目標をほぼ達成できた。2020年度はその成果に則ってさらなる現地調査、現地研究者からの聞き取り・意見交換、小規模セミナーを実施し、研究の深化を図る予定であったが、新型コロナウイルスの世界的拡大(パンデミック)に伴うタイ、ラオス、ミャンマー、ベトナム、カンボジア等アセアン各国の入国禁止処置のあおりを受けて現地調査を断念せざるを得ず、2年目の研究予定には大きな支障となった。ただしその中でも、前年度に収集した関連資料の内、主要な資料の講読・分析と要点整理、解明すべき問題点の抽出と解決方法の模索、オリジナル版に近い叙事詩の試行的邦訳などは実施できた。しかし、バンコクのタイ国立図書館に保存されているとされるラオス文字原典の貝葉書、またはその全体複製は入手できておらず、このマハーーシラー・ウィーラウォンによる1942年書写本の2006年タイ語完訳を元に、物語全体象の理解、プロットやエピソードの抽出と分類、ラオスの英雄譚『クン・ブロム伝説』との比較を行った。2021年度を迎えてもコロナ禍の収束機運は見えず、現地調査の見通しが立たないことから、収集資料の読解・分析と日本語への翻訳は2020年度実施したやり方を踏襲、深化させるほかないと思慮している。翻訳は一定量に達した段階で、順次ウェブサイトなどで公開していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染防止対策のため、タイやラオスが外国からの入国に厳しい状を貸したため現地調査が実施できず、新たな資料収集や研究施設本文、研究者との学術交流に支障が出ている。ただし、そのなかにあっても過去に収集した関連資料の内、主要な資料の解析と要点整理、解明すべき問題点の抽出と解決方法の模索、オリジナル版に近い叙事詩の試行的邦訳などは実施できた。2020年度はマハーーシラー・ウィーラウォンによる1942年書写本の2006年タイ語完訳を元に、物語全体象の理解、プロットやエピソードの抽出と分類、ラオスの英雄譚『クン・ブロム伝説』との比較を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は2019年12月と2020年3月の2度にわたり、タイ及びラオスでの現地調査、研究者との学術交流、関連資料収集、3年間の研究の基礎となるデータベースの作成で大きな成果があり、当初目標をほぼ達成できた。2020年度はその成果に則ってさらなる現地調査、現地研究者からの聞き取り・意見交換、小規模セミナーを実施し、研究の深化を図る予定であったが、新型コロナウイルスの世界的拡大(パンデミック)に伴うタイ、ラオス、ミ世界的なワクチン接種率の向上とパンデミックの終焉によって世界の航空路が再開され、アセアン諸国への入国と学術調査が自由に行えるようになることを前提に、今後も年2回程度のタイ、ラオス、ミャンマー、ベトナム、カンボジアでの現地調査と資料収集、選もんんかとの学術交流を再開し、合わせて、収集資料の分析、翻訳を進めていく心づもりである。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの世界的パンデミックにより、タイとラオスへの入国、現地調査が不可能となり、旅費、人件費、謝金を支出する機会も失われたことにより次年度使用額が生じた。
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