2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K00523
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
呉 世宗 琉球大学, 人文社会学部, 准教授 (90588237)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 1965年 / 東アジア / 沖縄文学 / 在日朝鮮人文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
「1965年」を契機として沖縄と在日朝鮮人社会は「東アジア」という共通の空間で揺れ動くが、その中で沖縄文学においては、米軍統治からの離脱と日本への復帰がテーマとなり、他方で在日朝鮮人文学では、日本への定住化を受け入れつつ、日本や対立を深める南北朝鮮からの離脱がテーマとなっていく。内実は異なるとはいえ、両文学とも「離脱と帰属」がこの時期の特徴となる。「1965年」という文脈のなか、離脱と帰属を同時に批判的に問うことで、両文学は「東アジア」という空間に向き合い、新たに構想しようと試みるのが本研究の目的となる。 2020年度は、「1965年」「東アジア」における沖縄文学と在日朝鮮人文学の「離脱と帰属」様相を解明することを目的とした。沖縄文学においても、在日朝鮮人文学においても「離脱と帰属」が共通のキータームとなるが、しかし沖縄文学では米軍統治からの離脱、在日朝鮮人文学では日本、そして南北朝鮮からの離脱というように両者においてはその意味が異なる。このことを踏まえ、両文学の作品分析を通じて「離脱と帰属」の差異を明らかにすることを試みた。そのために沖縄文学に関しては、川満信一、大城立裕、霜多正次、牧港篤三や『新沖縄文学』『琉大文学』等に掲載された作品群を収集し分析を行った。在日朝鮮人文学に関しては、李殷直、金鶴泳、金石範といった文学者や雑誌『朝陽』『白葉』等の作品を収集し分析を進めた。研究成果は、zoomなどを利用することで国内国外で発表を行うことができ、また論文も作成し公表することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度も新型コロナの影響で海外や沖縄県外での調査や研究発表は困難であったものの、すでに収集を進めていた資料に加え、図書館を通じて取り寄せた多くの資料を基に、計画に沿って研究を進めることができた。またzoomなどを利用し、韓国での研究発表や講演などを行うことで、研究成果を発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度が本研究計画の最終年度になるため、予定通りの研究を進めていく。すでに多くの資料を集めているが、不足分を補うとともに、これまで得られた研究成果を論文化し、積極的に学会や研究会、シンポジウムで発表していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナ・ウイルスの流行のため、予定されていたセミナー等の出席がzoomを利用した遠隔開催となり、旅費に使用するのに計上されていた予算が使われなかったため。 次年度使用が生じた金額は、新型コロナの流行状況を見ながら、資料収集のための旅費に使用するか、あるいは出張が困難な場合は高額な文献の購入にあてる予定である。
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Research Products
(7 results)