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2021 Fiscal Year Research-status Report

柳宗悦による朝鮮フィールド調査と朝鮮民芸言説の近代性に関する研究

Research Project

Project/Area Number 19K00524
Research InstitutionHokkaido University of Science

Principal Investigator

梶谷 崇  北海道科学大学, 未来デザイン学部, 教授 (10405657)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2024-03-31
Keywords柳宗悦 / 柳兼子 / 民藝 / 民藝運動 / 朝鮮 / 式場隆三郎 / 吉田正太郎
Outline of Annual Research Achievements

2021年度は、学会誌に論文3件が掲載、1件の学会発表を行なった。また、前年度に引き続き新潟県において柳宗悦の活動と関連する文献資料の調査や関連施設の視察、ヒアリングを行なった。
3件の論文は2020年度に調査研究、投稿した論文である。新型コロナにより韓国への渡航が制限されたことから、研究の方針に一部変更を加え、日本国内での柳宗悦・兼子夫妻の文化事業に関連する調査を優先的に進めている。1920年代に柳夫妻は朝鮮での文化振興事業を展開するが、その一環で日本国内を巡回して講演会や音楽会を開催している。この全国行脚が後々柳の朝鮮民族美術館設立運動へ展開していくのだが、2021年度はこれらの研究を敷衍して、新潟県において柳らを支援した新潟医専の学生であった式場隆三郎、吉田璋也らアダム社メンバーとの関係および柏崎の吉田正太郎、桑山太一朗といった青年実業家や資産家たちに関する資料を収集し、柳の文化事業をより精緻に分析した。柳は朝鮮や日本国内を旅行し各地で人的ネットワークを構築しながら、自らの事業の共鳴者の輪を広げていくのだが、この旅行の経験やネットワークが後々民藝運動の全国的な展開を用意した。21年度の調査、研究は1920年代の日本国内での柳の活動に焦点を絞って考証と分析を試みたものである。これらの研究結果は2022年度中に所属学会誌への投稿を予定している。
また、2021年度第1回日本比較文学会北海道研究会において、「民藝のコミュニケーション」という題目で研究発表を行なった。この発表では柳宗悦が河井寛次郎や濱田庄司と1937年に行なった朝鮮全羅道への民藝調査旅行の記録である「全羅紀行」を題材として、彼らがいかに現地の人々とコミュニケーションを行なっていたか、あるいは失敗したのかということについて検討した。会場において得られた知見をもとに2022年度も継続して検討を続けていく予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2020年度同様、韓国への渡航が制限されていることから現地での調査は行えていない。
ただし、2020年度の段階で、当初計画のうち韓国での調査計画を後ろ倒しする反面、日本国内において可能な調査を優先的に行なっているので、全体としては研究が遅れているとは考えていない。
また日本国内で得られる資料やインターネットを介した資料収集でも現在では多くの資料を得ることができる。現地研究協力者との間での情報交換等の活動は行えておらず、今後オンラインでのものも含め検討する必要があると考える。

Strategy for Future Research Activity

海外渡航の見通しが十分に立っていない状況に変わりはないので、前年度同様に日本国内でできる調査から進めるという方針に変更はない。
本研究の目的は柳宗悦が朝鮮半島で行なったフィールドワークという民藝調査の実践の分析を通して、彼らの活動の近代性を明らかにすることにあるが、柳の民藝調査やその収集活動、啓発活動は日本国内におけるフィールドワークの延長線上にある。したがって、現時点では日本国内における柳の全国調査に関する分析や知見を得ることを優先的に行なっている。また、同時代の民俗学的研究、柳田国男や今和次郎などとの比較、関係性も視野にいれて検討している。いずれ韓国の資料との照合を経て、柳の調査活動が日本・韓国の近代における意味づけを行いたいと考えている。

Causes of Carryover

科研費は研究用旅費として使用する他はコンピュータ関連用品類と書籍資料代が主なものである。
2021年度は13.239円の残金であり、概ね計画通り執行できたものと考える。
同額が次年度使用額となるが、書籍資料代等に組み入れて執行する計画である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2021

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 柳兼子の北海道における音楽活動 : 東京混声合唱団の分析を通して2021

    • Author(s)
      梶谷崇
    • Journal Title

      日本近代文学会北海道支部会報

      Volume: 24 Pages: 46-59

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 民藝美の基層 : 柳宗悦の自然概念2021

    • Author(s)
      梶谷崇
    • Journal Title

      有島武郎研究

      Volume: 24 Pages: 58-69

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 柳宗悦「彼の朝鮮行」と柳兼子独唱会 ―朝鮮文化事業における行為遂行的メディア戦略―2021

    • Author(s)
      梶谷崇
    • Journal Title

      北海道科学大学紀要

      Volume: 49 Pages: 29-36

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 民藝のコミュニケーション2021

    • Author(s)
      梶谷崇
    • Organizer
      2021年度第1回日本比較文学会北海道研究会

URL: 

Published: 2022-12-28  

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