2023 Fiscal Year Annual Research Report
柳宗悦による朝鮮フィールド調査と朝鮮民芸言説の近代性に関する研究
Project/Area Number |
19K00524
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Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
梶谷 崇 北海道科学大学, 未来デザイン学部, 教授 (10405657)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 柳宗悦 / 民藝運動 / 朝鮮 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は当該研究テーマの総括を行った。5年間の研究成果として論文執筆に取り組み、「民藝派による昭和初期における朝鮮民藝調査に関する研究ー柳宗悦「全羅紀行」の検討を通してー」(『北海道科学大学研究紀要』51号(2023/10))を発表した。コロナにより当初計画していた韓国現地を訪問して行う資料調査や共同研究者とのミーティングを行うことができず、結果的に多くの活動を断念し、一部テーマの修正を行なって研究を遂行した。2023年度は当初テーマに加え、日本国内における民藝調査に関する言説の分析、全国の運動支援者との関係性にも視野を広げた。 研究期間全体を通して、昭和初年代に行われた柳宗悦ら民藝派の朝鮮踏査の実態を日本および朝鮮の資料をとおして明らかにした。『月刊民藝』誌などの民藝関連誌や『東亜日報』等の朝鮮における新聞資料、柳宗悦、河井寛次郎、濱田庄司、外村吉之助といった民藝運動家や陶芸家によるテクストの分析を行なった。 またそれに加えて、柳らの民藝調査を地方で支えた人々にも着目をした。新潟県において、新潟医専の学生団体アダム社メンバーであった式場隆三郎、吉田璋也、柏崎における吉田正太郎、あるいは実業家大原総一郎などの民藝運動との関わりを検討した。彼らはのちに日本民藝館はもとより鳥取民藝美術館や倉敷民藝館、愛媛民藝館など地方民藝館を設立し、地方における民藝運動を牽引した。当初研究テーマを若干敷衍し、日本国内各地の民藝調査とその後の民藝運動への影響にまで広げて検討を行なった。
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