2022 Fiscal Year Annual Research Report
批判・ロマン主義・日本的近代――近代諸社会における「文学的なもの」の身分規定
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19K00528
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
片岡 大右 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 講師(非常勤) (30600225)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ロマン主義 / セナンクール / ポール・ベニシュー / 加藤周一 / デヴィッド・グレーバー / マルセル・モース / 小山田圭吾 / いじめ問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
フランス・ロマン主義研究に関しては、まずは京都大学人文科学研究所の国際シンポジウム「Les belles lettres dangereuses」にて口頭報告を行い、セナンクール『オーベルマン』の書簡体小説としての意義を日本における受容史の紹介を交えつつ論じて、のちに同研究所の紀要論文集『Zinbun』に論文として掲載された。ついで日本フランス語フランス文学会秋季大会にてサント=ブーヴの受容史をめぐり報告、さらに立教大学にて国際シンポジウム「ロマン主義と第二帝政期の文学」に参加、P・ベニシューのロマン主義論の知的背景をめぐり報告した(本報告に基づく論文が、2023年度にフランスにおいて出版予定)。また、原大地氏のマラルメ研究をめぐる公開合評会においても、ロマン主義の歴史的射程をめぐる問題提起を行った。 加藤周一研究に関しては、論文「アジアの複数性をめぐる問い」、日仏会館の民主主義をめぐる文化講座、中国人研究者・劉争氏の加藤研究および人類学者・森山工氏のマルセル・モース論の公開合評会(いずれも東京大学東アジア藝文書院にて開催)において、その思想的射程をアジアという地域的広がり、デヴィッド・グレーバーやモースら人類学者の仕事との比較といった観点を導入しつつ再検討した。なおグレーバーについては、岩波書店のnoteにおいてその思想の全体像を素描する試みを行った。 現代社会における批評/批判の意義および射程の再検討というテーマに関しては、2022年度に発表した小山田圭吾の炎上問題をめぐる考察を書籍化し(集英社新書)、慶應義塾大学において刊行記念シンポジウムを主催して、「いじめ問題」をめぐる教育社会学的研究を踏まえつつ1980年代以降の「いじめ」表象の再読を提案するとともに、1990年代のポピュラーカルチャーをめぐる問題をロマン主義以後の文化現象の一種の継続として捉えなおす視点を導入した。
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Research Products
(10 results)