2020 Fiscal Year Research-status Report
The view on children and children's rights in Sveriges Radio's broadcasts
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19K00531
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
上倉 あゆ子 東海大学, 文化社会学部, 准教授 (70467520)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 北欧 / スウェーデン / 子ども文化 / テレビ・ラジオ / メディア / 子どもの権利 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度末に予定していた現地調査がコロナウイルス感染拡大により実施できず、2020年度も引き続き海外渡航不可の状況が続いたため、当初計画していた現地調査が実施できていない状況にある。そのため、研究の対象であるラジオ放送におけるこども番組の発展を知る前提として、スウェーデンにおける公共放送全般における「こども」と「こどもの権利」への視点について、その歴史的流れの整理を進めている。その中でも、「ろう児」と「メディア」の関わりについては、本研究課題申請時までの研究をこれまで十分に深めることができていなかったため、その論考を形にする作業を進めている。 スウェーデンのみならず、北欧諸国のメディアにおいては、コロナウイルス感染拡大の中で「こどもチャンネル」がどのような情報をどのような形で出すかということに注意が払われており、こどもへの情報提供の方法について大いに注目すべき点が見られる。幼いこどもや若い世代に対して、コロナウイルスとはどういうものであるのか、日常生活で気を付けなければいけないことは何か、どのような理由で様々なことが制約されているのかといったことに対して、可能な限りの誠意を尽くした対応を目指す姿勢が見られるが、これは本研究課題のテーマに大きく関わるものである。2020年度は、そういった北欧のメディアの活動にも注目し、情報収集を進めた。今後、この直近の状況でのスウェーデン公共放送の「こども番組」への取り組みと姿勢について、これまでの調査から見えるこども番組発展の歴史的背景をふまえて、分析を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究課題においては、スウェーデン王立図書館、スウェーデン児童書研究所(Svenska barnboksinstitutet)、ストックホルム大学こども文化研究センター(Centrum foer barnkulturforskning)などの現地期間を訪問し、ラジオ放送におけるこども番組の発展の歴史とそれに寄与した人物に関する調査を進める計画であった。しかしながら、1年目・2年目ともに新型コロナウイルス感染拡大の影響から海外渡航が不可となり、現地での資料収集が実施できていない状況にある。また、2020年度は突然の遠隔授業への移行や、それに伴う学務の急増、こどもの小学校・保育園が休みとなり自宅待機となったことへの対応など、予期されなかった事態が重なることとなり、当初計画通りのエフォートを本研究課題に割くことが非常に困難な状況にあった。 スウェーデンのテレビ・ラジオのこども番組の内容とこどもの権利擁護に大きく関わっていると考えられるグンネル・リンデ(Gunnel Linde)の情報は、日本から入手可能な書籍・資料のみでは非常に限られているため、その面でも難しさが続いており、調査の進捗は遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査の実施が困難な状況が続いていることをふまえ、スウェーデン公共放送における新型コロナウイルスに関する対応に着目し、こどもへの情報提供がどのような視点に立ってなされているかの調査を進めたい。その際、他の北欧諸国の状況も参考になるものと考えられる。そういった「こども番組」への取り組みとその背景について、ここまでの調査・分析の成果を学会報告・論文等の形にすることを目指す。 ラジオ放送に関しては、グンネル・リンデに関する調査を引き続き実施したいが、資料収集の難しさも考慮し、レンナート・ヘルシング(Lennart Hellsing)など他の児童文学作家でテレビ・ラジオのこども番組に大きく関わっている人物にも調査の幅を拡げ、こども向けラジオドラマ発展の歴史について整理していく。 なお、ここまで2年連続で現地調査が実施できていない進捗の遅れもあるため、本研究課題の研究期間については延長の申請を検討している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、2年連続でスウェーデンでの現地調査が実施不可となり、当初計画とは大きなずれが生じている。現時点では状況は極めて不透明ではあるが、現地調査自体は不可欠であるため、研究期間延長の上で必ず実施したいと考えている。ただ、2021年度も当面海外渡航は困難な状況であることをふまえ、資料収集の方法を再考し、現地在住者への協力依頼(人件費としての使用)、国内の北欧こども関係の研究者との研究会開催等も検討する。
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