2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K00534
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
秋草 俊一郎 日本大学, 大学院総合社会情報研究科, 准教授 (70734896)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 世界文学 / 翻訳研究 / 受容 / 文学全集 / 比較文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
課題の研究実施期間中は全般として、コロナ・ウィルスの蔓延により、出張業務は国内・国外ともに差し控えざるをえなかった。かわりに翻訳研究・ソヴィエト文学・世界文学研究・冷戦研究などの文献資料を欧語・邦語とわず研究費で収集し、該当分野の先行研究を整理、理解に努めた。 最終年度はZOOMなどのビデオ会議システムを使い、国内の研究会・学会に参加し、研究分野についての知見を深めた(具体的には日本比較文学会など)。また、日本の戦後ロシア文化受容についてや、冷戦期アメリカ文学受容の研究会に参加し、冷戦期ソ連文化受容や冷戦期アメリカ文学受容についての理解を深め、さまざまな分野の研究者と意見を交換した。論文「独裁者は世界文学の夢を見るか――エヴゲーニー・チジョフ『下訳からの翻訳』とポストソヴィエト的翻訳ポリティクス」を立命館大学の『言語文化研究』34巻2号に発表した(129-138頁)。論考「「世界文学全集」消滅の訳――「3000万読者」は誰だったのか」を『中央公論』2022年8月号に発表した(168-173頁)。 また中村唯史・坂庭淳史・小椋彩編著『ロシア文学からの旅――交錯する人と言葉』(ミネルヴァ書房)に、「ロシア文学とアメリカ文学」の項目を執筆した(210-211頁)。 また翻訳研究における古典、世界文学的な研究の萌芽的研究でもあるローレンス・ヴェヌティ『翻訳のスキャンダルーー差異の倫理にむけて』(フィルムアート社)を共訳・刊行した。 研究期間全体を通じて、日・米・ソ(ロシア)の世界文学全集のありかたを精査し、そのあり方が出版や教育、政治等の制度と強い結びつきがあることを明らかにした。なおその成果の主要な部分は著書『「世界文学」はつくられる――1827-2020』(東京大学出版会)にまとめた。
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