2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K00535
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Research Institution | Tokyo Junshin University |
Principal Investigator |
大竹 聖美 東京純心大学, 現代文化学部, 教授 (60386795)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 方定煥 / 岡本帰一 / 模範家庭文庫 / 世界童話寶玉集 / コドモノクニ / 朝鮮児童文学 / 韓国児童文学 / 愛の贈り物 |
Outline of Annual Research Achievements |
朝鮮における初の児童文芸誌『オリニ』は、方定煥によって1923年3月に創刊された。『オリニ』誌を創刊させる直前の2年間(1920年9月頃~1923年4月頃)を方定煥は東京で過ごしており、そのころ東京では模範家庭文庫(全24冊)(冨山房、1915~1932年)など美しい装丁と挿絵の豪華な箱入り世界名作全集が出版されていた。方定煥が東京に滞在していた1923年までには『アラビアンナイト』『グリム御伽噺』『イソップ物語』『アンデルセン御伽噺』『ロビンソン漂流記』『ガリバア旅行記』などが刊行されている。 この模範家庭文庫のすべての挿絵は岡本帰一(1888~1930年)が描いているが、方定煥は『愛の贈り物』(1922年7月7日刊行、開闢社)の表紙絵として模範家庭文庫『世界童話宝玉集』(1919年)に挿入された岡本帰一の花束を抱える少女の画を使用している。『オリニ』の広告ページに掲載された『愛の贈り物』の表紙写真からは、『世界童話寶玉集』(1919年)にある岡本帰一が描いたカラー口絵がそのまま使用されていることが分かる。『コドモノクニ』の岡本帰一の絵は『オリニ』にも影響を与えており、1933年3月号の『オリニ』第11巻第3号目次には、『コドモノクニ』第7巻第1号(1928年1月)に掲載された岡本帰一が描いた踊りを踊る妖精のような少年少女の影絵が使用されている。しかも、その後も何度も繰り返して目次の装飾として使用され続けた。ただし、『コドモノクニ』では絵画の左下に署名されている<kiichi>というサインが『オリニ』の方では消されており、誰の作品なのかは示されていない。方定煥が100年前に刊行した世界名作童話『愛の贈り物』や『オリニ』には、岡本帰一が手掛けた『世界童話寶玉集』、『金の船』、『コドモノクニ』などに掲載された作品が多く使用されていた
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