2020 Fiscal Year Research-status Report
1940年代の若手文学者ネットワークと「世界文学」概念:福永武彦を軸に
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19K00537
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中島 亜紀 (西岡亜紀) 立命館大学, 文学部, 教授 (70456276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩津 航 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (60507359)
戸塚 学 武蔵大学, 人文学部, 准教授 (70633014)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 比較文学 / 福永武彦 / 加藤周一 / 堀辰雄 / 世界文学 / メディア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、福永武彦を軸として1940年代日本の若手文学者の「世界文学」概念をめぐる人や知のネットワークを解明することに努めた。彼らの文学の萌芽期に盛んに議論された「世界文学」概念の全体像、その言説を作り出した教育、先行作品、共通体験、人のつながり、彼らの実作や同時代・後続の文芸への波及などを調査・解明を目指した。 C0VID-19の影響で、国内国外ほぼすべての予定していた出張・調査を断念せざるを得なかったので、大幅な研究計画の変更を余儀なくされたが、その範囲内で、各自でできる限りの成果公表にはつとめた。研究代表者・西岡は、福永武彦及び同時代作家、出版史、小説理論、最新の小説動向などを中心に、新たな文献資料の拡充を図った。また、図書の分担執筆1本、日本比較文学会の中部支部大会におけるシンポジウムのパネリストを1件など担当した。研究分担者・岩津は、『草の花』仏訳書の刊行、研究論文1本の執筆、研究分担者・戸塚は、関連論文1本の執筆を行った。 上記に加えて、西岡は、立命館大学の学生を中心とする若い世代と現役の表現に関わる研究者や演者が、立場や年齢を越えて交流する場をつくることで、表現の未来を考えるための研究会「言語表現メディア研究会」を立ち上げた。2020年6月から2021年1月の間に、5回の講演会と2回の学生主導型の勉強会を主にリモートで開催した。講演会には、アニメーションの研究者、詩人、声優、アニメーションのプロデューサーといった表現に関わるプロを招聘した。また、若手の俳優や図書館司書など、表現の発信に携わる20代の人に、学生によるインタビューも交えた講演会も開いた。自粛体制のなかで表現をめぐる現場の実情を共有しつつ、近未来の表現発信のあり方について、皆で討論するたいへん有意義な機会となった。なお、声優とプロデューサーの講演会「声のチカラ」については講義録を近く公開する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年春学期に西岡は、東京、フランス、長崎、長野等での実地踏査を予定していたが、たびたびの自粛要請や教育業務との兼ね合いから、すべての出張を取りやめざるをえなかった。また、同じ状況のなかで、年報第6号の原稿の一部(評伝や同時代作家へのインタビューなど)の原稿が滞り、刊行が遅れている。 代わりに、代表者西岡は、本の分担執筆、zoomでの学会発表を行い、また学生参加型の研究会を立ち上げ、プロの演者や研究者ほかの有識者、表現に関わる仕事をしている若手を招いて、全体で5回の講演会を開くという形で、本来とは多少の計画の変更をせざるをえなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も出張や調査は最小限に留めざるを得ないため、座学でできる範囲の調査とテクスト分析、リモートで参加できる範囲の研究成果の受発信に努める。具体的な計画は下記。 ①現状は国内外での調査ができないため、ひとまず『年報・福永武彦の世界』第6号の刊行準備に着手する。編集方針は打ち合わせ済なので、各自が執筆、編集作業を進める。2022年3月に立命館大学における公開講座「世界文学の100年」を開催することが決定している。11月開催の比較文学会の関西支部大会のシンポジウムに企画を提案して、現在調整中(こちらは他の企画との関係によっては、別の媒体での発表に代替することもある)。 ②「言語表現メディア研究会」の活動を継続する。動画編集を行っている若手にインタビューする企画、「声のチカラ」第2弾の予定を現在調整中である。情報共有・意見交換のためのwebサイト構築を進める。 ③パリ日本館の踏査に代えて、過去に作成済の日本館滞在者リストの情報拡充作業を行う。 ④研究分担者岩津は、加藤周一のフランス文学理解について同時代フランスにおける批評と比較考察、そのための調査や講読をフランスや国内の関連機関で行い、フランス文学に立脚した当時の加藤の批評がもつ射程を明らかにする。戸塚は、堀辰雄から中村真一郎や福永武彦に何が引き継がれたのか、また堀を中心に集まった若い文学者達がどのような書物や知を共有していたのか、具体的な作品分析や彼等の言説の分析を通して明らかにする。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響で、予定していたすべての出張と実地踏査に出られなかった。また同じ理由で、年報第6号の原稿が予定通りに集まらなかったため刊行に至らなかった。 次年度は、少なくとも年報第6号の刊行と発送を行い、出張や実地踏査が行えない場合には講演会の開催やインタビューなどの代替の活動を、引き続き模索する。
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Research Products
(4 results)