2022 Fiscal Year Annual Research Report
図像研究/物語研究の統合アプローチによるマンガメディア特性の解明
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19K00539
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Research Institution | Institute of Wellness and Ecological Sciences (Global Research Center for Applied System Science) |
Principal Investigator |
小山 昌宏 有限会社自然医科学研究所(実証システム国際研究センター), 実証システム国際研究センター, 研究員 (00644494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 明彦 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 教授 (00264573)
小池 隆太 山形県立米沢女子短期大学, その他部局等, 教授 (00351734)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | comics / iconography / narratology / semiotics / morphology / ecological psychology / mereology / media studies |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は最終年度であり、合同研究会を7月、9月、11月、3月の計4回おこなった。小山は物語マンガの文字と描画がいかにその読解にかかわるのか、その可能性を形態学的描線論から生態学的描画論へと視点を移すことにより掘り下げをおこなった。小池は、羽海野チカの作品分析を通して、コマ間内語の「位置」が、いかにマンガの物語性を生成し、読者に影響を与えるのかについて論究をおこなった。また高橋は楳図かずお作品を通して、マンガの描線とコマ割りの機能について、アリストテレスの諸概念を再検討し、論考をさらに深めた。 本年度はその成果が問われる3名(小山・玉川・小池)による編著『マンガ探求13講』(水声社)を上梓した。書籍は現代マンガをグローバルな視点でとらえなおし、「テクスト」「コンテンツ」「カルチャー」「マーケット」をキーワードにコミックスの全体像を掴もうと試みたものである。小山、小池、高橋は執筆者として「テクスト」研究を主にすすめ、冒頭の研究報告内容を活字化し、成果をあげた。 この個別の取組において、小山は「描画生態論:物語マンガの文字と描画はいかにして読解にかかわるのか? ―形態学的描線論と生態学的描画論の統合可能性を探る」、小池は「物語生成論:マンガにおける「語り」の生成」、高橋は「描線創生論:コマとアリストテレスの運動イメージ ―楳図かずお『別世界』と高野文子『黄色い本』を例に」を執筆した。 またその他単著では本研究の派生成果として、小山が『批評なきカートゥーンのゆくえ』(汎工房)を上梓した。さらに小池は「コマ間内語の「位置」 -羽海野チカ『ハチミツとクローバー』第61話の分析」『山形県立米沢女子短期大学紀要』第58号、を著わし、高橋は「別世界のその人―楳図かずおは最初から芸術家だった」『楳図かずお大美術展 図録』(楳図かずお大美術展制作委員会)を著わした。
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Research Products
(9 results)