2020 Fiscal Year Research-status Report
条件構文依拠の談話・語用標識(化)に関する複合的研究 ー実証とモデル化に向けてー
Project/Area Number |
19K00545
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 聖子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (70165330)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 語用標識(化) / 談話標識(化) / 左方周辺部・右方周辺部 / 構文化・文法化 / 条件構文 / 脱従属化(insubordination) / 構文・用法基盤アプローチ / 間主観性・相互行為 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、談話における接続・条件構文の使用を実データに基づき分析し、(1) その左方周辺部(発話頭・文頭)および左方周辺部(発話末・文末)での用法の形式・意味・機能を明らかにすること、(2)その構文化・文法化や語彙化・脱文法化や脱従属化(insubordination)、語用標識化・談話標識化等動態諸相を浮き彫りにすること、(3)それら動態諸相の類型とメカニズムを、構文的特質、主体性・認知的過程,および、談話展開や間主観的相互行為過程等複合的観点から解明しモデル化することを目的とする。 二年次も引き続き、談話における接続構文の使用を分析し、複文での形式・意味・機能と照らし合わせつつ、その左方周辺部および左方周辺部での用法の形式・意味・機能を明らかにする研究を進めた。 この中で、特に「構文(化)」と捉えられる新たな現象に着目し分析した。一事例として、主節の項構造の解釈において副詞節が主節の項構造の一項として解釈され(主節の項は明示されない)発話が慣用的に用いられる現象を指摘し、この構文のフレーム意味論・構文理論による分析を示した。この論考は、英文査読雑誌に採択され刊行に至った。 さらに、脱従属化(insubordination)構文と複文とその中間的構文を包括的に捉え、統語・形式的にも意味・機能的にも類似性ともに相違を呈する関連構文を構文群family of constructionsと位置づけ、その構文ネットワークの諸相を明らかにしつつ構文彙を構築する枠組みを提案した。この抄録を2020年度に構文理論学会に投稿し学会発表に採択された。2020年度に開催・発表予定であったが、COVID拡大情勢によりこの国際学会開催が翌年度2021年度に延期された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自国・研究室内で実施可能な分析等を、当初の研究計画に基づいて進めてきている。また、研究成果の一部を論文に執筆し、英文査読雑誌に投稿し採択された。また、国際学会における研究交流・貢献等にも遠隔通信を通して努めている。ただし、COVID感染拡大の情勢のため、研究手法は限定的になっている。また、2020年度に予定されていた国際学会が翌年度に延期され、研究成果の国際学会での発表は翌年度以降に持ち越されている。また、海外の研究機関の研究者との研究交流や共同研究活動も翌年度以降に延期してきている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も(COVIDによる行動制限が続く場合)、まず自国・研究室内で実施可能な手法での分析を、研究計画の目的に基づいて継続する。また、遠隔で可能な海外とのコラボレーション等にも務める。研究計画の中では、脱従属化(insubordination)構文と複文の習得に関する分析にも注力したい。 2021年度、研究成果の一部をベルギーで開催予定の構文理論学会 International Conference on Construction Grammarにおいて発表する予定である。さらに、コロナ情勢が渡航可能になるまで改善した場合は、米国での研究コラボレーションや発表等も再開できればと考えている。
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Causes of Carryover |
2020年度にベルギーで開催予定であった国際学会に参加し発表する予定であったが、COVID感染拡大のため、学会が次年度に延期になった。そのため、国際学会参加のための海外出張旅費や参加登録費等が、2019年度に発生せず、次年度に使用することが必要になった。また、予定していた米国での研究や研究会のための海外出張もCOVIDによる渡航制限のため延期になったため、2021年度(以降)にコロナ情勢が改善し渡航が可能になった後に海外出張を予定している。これらの費用が、次年度以降に必要になる。
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Research Products
(5 results)