2021 Fiscal Year Research-status Report
Micro-variation of the subject properties in Bantu languages
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19K00550
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
米田 信子 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (90352955)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | バントゥ諸語 / 主語 / 主題性 / 国際共同研究 / マイクロバリエーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、アフリカ大陸赤道以南に広く分布するバントゥ諸語の主語のプロパティを比較し、類型化をすることである。2021年度は、①学会等での成果発表、②海外共同研究者との打ち合わせおよび論文執筆、③データの収集と見直し、を行った。 ①については、5月にバントゥ諸語国際ワークショップ、6月に第8回国際バントゥ諸語学会と第10回世界アフリカ言語学会議においてこれまでの成果を発表し、有益なフィードバックを得ることができた(業績リストを参照)。②については、海外研究協力者の森本氏(ベルリン在住)とオンラインで定期的にミーティングを開き、データ分析と論文執筆の打ち合わせを行ってきた。現在、日本語と英語の論文を1本ずつ執筆中である。また2022年6月にマラウイで開催される第9回国際バントゥ諸語学会での発表準備も行った。③については、昨年に続き2021年度もアフリカでの現地調査を行うことができなかったため、これまで収集したデータの確認と再検討が中心となったが、5月に開催されたワークショップにおいて、これまでデータが不足していた西部バントゥ諸語のデータを新たに収集することができた。また、2022年3月にはゲント大学(ベルギー)においてバントゥ諸語研究者たちとの研究会を行い、コンゴ共和国およびコンゴ民主共和国のバントゥ諸語について、特に歴史言語学の視点から新たな知見を得ることができた。これまで本プロジェクトでは通時的な視点を取り入れることがあまりなかったが、ゲント大学での研究会を通して、本プロジェクトの次の展開が具体的になった。 2021年度は、本来であれば最終年度となるはずであったが、昨年に引き続き現地調査を行うことができず、予定したデータの収集ができなかったことから、プロジェクトの期間を1年延長することにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由 2021年度は、①3つの国際学会での成果発表、②海外共同研究者との研究打ち合わせ、③ウガンダとルワンダでのデータ収集を計画していた。①ついては、いずれもオンラインでの開催となったが、予定どおり発表し、有益なフィードバックを得ることができた。現在それらの成果を論文にまとめている(1本はすでにジャーナル掲載が決定した)。これについては計画どおりに行うことができた。②についても、ベルリン在住の共同研究者森本氏とはオンラインで打ち合わせを行い、現在共著論文の執筆を進めている。この点は「予定どおり」である。しかしながら、2020年に予定していたもうひとりの共同研究者Gibson氏の来日は2021年度にも実現することができず、計画している主語の主題性と存在・所有構文に関する共同研究を進めることができなかった。③については、2021年度もウガンダとルワンダでの現地調査を行うことができなかった。オンラインで調査を行う予定であったが、十分なデータ収集には至らず、文献からのデータ収集が中心になってしまった。西部バントゥ諸語およびコンゴのバントゥ諸語のデータを収集することができたのは計画以上のことであるが、データの補完や確認が必要であるにもかかわらずそれができていない言語がいくつもあることから、データ収集については計画通りには進んでいるとは言えない。 このように、個人の成果発表に関しては概ね計画通りに進めることができたが、共同研究とデータ収集に関しては「計画通り」とは言い難く、全体として「やや遅れている」という評価になった。
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Strategy for Future Research Activity |
応募申請書に記した計画では2021年度が最終年度となっていたが、2020年度に続き2021年度も計画通りにデータの収集できなかったことから、本課題の研究期間を1年延長した。今後のコロナ感染状況にもよるが、少なくとも現状では、アフリカ渡航ができそうなので、現地調査を行う予定である。 2022年度は、本プロジェクトの最終年として、①データの確認と補完、②学会等での成果発表、③海外共同研究者たちとの研究打ち合わせと論文執筆、を行う予定である。 ①については、タンザニア、ルワンダで調査を行い、タンザニアではこれまで収集したデータの確認と補完、ルワンダではルワンダ語のデータ収集を行う。コロナ感染状況によって現地調査が行えない場合は、オンラインで可能な範囲のみ行う。最終年度であることに鑑み、できるだけ現在収集できているデータで成果を出すことを考える。②については、6月にマラウイで開催される国際バントゥ諸語学会、9月にゲントで行われる国際ワークショップ、2023年2月に東京で開催される国際ワークショップで発表することが決まっているので、それに向けて準備を進める。③については、現在執筆中の森本氏との共著論文2本を仕上げる。またGibson氏とはマラウイでの学会で会うことになっているので、研究打ち合わせを行い、2023年度以降の研究準備を始める。2022年度は最終年度であり、プロジェクトのまとめの意味からも、また次のプロジェクトに展開していくためにも、特に③に力を入れる。
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Causes of Carryover |
予定していた海外調査に行けなかったこと、国内外の学会がオンライン開催になったことにより、旅費の予算の多くが残ってしまった。またデータ収集が思うように行えなかったことで、データ整理のアルバイト代も未使用となってしまった。 2022年度は、海外調査、対面での国際学会開催が予定されているため、それらの旅費として使用する。
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