2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K00559
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
浅田 裕子 昭和女子大学, グローバルビジネス学部, 准教授 (10735476)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日本手話 / 複合述部 / 統語論 / 結果構文 / 複合語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本手話における複合述部の特性を記述的に明らかにし、統語構造を明らかにすることを主な目的としている。最終年度である2022年度も、日本手話の複合形態に関する研究において一連の結果を出すことができた。主な研究実績は以下の二点である。 ① 動詞由来複合語 2021年度の研究で、日本手話の並列複合語(例 /信じる/+/祈る/ '信仰')と限定複合語(例 /箱/+/詰める/‘箱詰め’」が異なる音韻特性をもつことを確認した。二つの動詞由来要素から成る並列複合語では、利き手と非利き手による同時表出は容認されないが、一方の要素がもう一方の動詞由来要素を修飾する限定複合語では、利き手と非利き手による同時表出が必要である。興味深いことに、この事実は、日本語の動詞由来の並列複合語(例:読み書き)・限定複合語(例:ペン書き)が異なる音韻特性をもつことと類似している。並列複合語ではアクセントは起伏型で連濁は起こらないが、一方、限定複合語ではアクセントは平板で連濁が起こるという対比がある。この観察を踏まえ、二言語二タイプの複合語の音韻・意味特性を統一的に説明する統辞分析を構築し、2022年6月の国内学会で発表した。この結果を含め、本研究課題開始当初からの研究成果を総括し、2023年2月公刊の手話言語学書籍の一章で発表した。 ② アメリカ手話・日本手話複合語の比較研究 ①の研究成果を踏まえ、アメリカ手話と日本手話における複合語の比較研究を開始した。2022年8月に行った音韻・統語に関するインターフェースセミナー(招待講演)で日本手話の外在化に関する発表を行い、9月以降は、①の研究で確認した日本手話限定複合語の主要部・修飾部の語順と音韻特性に関するデータをアメリカ手話複合語のデータと比較検証し、その分布を説明する理論を構築した。2023年4月公刊の国際ジャーナルで公刊した。
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Research Products
(6 results)