2019 Fiscal Year Research-status Report
A Study on the Formation of Terms and Styles in the Chinese Bible by Protestant Missionaries in the Early 19th Century of India
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19K00570
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
永井 崇弘 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(総合グローバル), 准教授 (80313724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩山 正純 愛知大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (10329592)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | プロテスタント最早期の漢訳聖書 / 1807年 / 漢訳者ラサール / マタイの福音書 / 書誌 / 底本 / 全文写真データの入手 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで一般的にプロテスタントによる最初の聖書漢訳は1810年にモリソンによって漢訳された使徒行伝とされてきた。しかし、近年、研究代表者により、それを遡る1807年にラサールがインドで漢訳したマタイの福音書の存在を初めて確認した。本課題の目的を達成するため、2019年度では英国ロンドンにおける調査を行い、その全文を初めて写真撮影することに成功した。また所蔵図書館と影印出版の使用権の交渉を行い、出版時に書類を提出することで、無償にて写真を使用する許諾を得た。2019年度ではこれらの成果のほか、この1807年のラサール訳の電子テキスト化を行うとともに、1822年のマーシュマン・ラサール訳に標点符号を施した漢訳文の電子テキスト化を完成させた。これによって語彙検索が容易となり、本課題における研究がより加速した。2019年度の本課題に関連する研究実績は以下のとおりである。 【論文】 1)永井崇弘2020.『関於于19世紀初在印度翻譯的漢譯聖経及其譯者和底本-拉沙的馬太福音漢譯本-』,福井大学教育・人文社会系部門紀要第4号,1-12頁 【口頭発表】(関連研究) 1)塩山正純.「関于西洋学者對漢語介詞的分析 -管窺19世紀上半葉西洋学者漢語詞類認識進程-」2019年5月12日 東アジア文化交渉学会第11回年次大会(独・エアランゲン大学),2)塩山正純.「基督教問答書的文体-以楊格非的両種《真道入門問答》爲例-」2019年10月20日語言接触与文化変遷国際学術研討会曁世界漢語教育史研究学会第11届年会(北京外国語大学),3)塩山正純.「近代西洋伝教士的中文“文体”観簡析-以楊格非的漢譯爲例-」2019年11月9日 四百年来東西方語言互動研究-第二届近代東西語言接触研究学術会議(2019)(北京外国語大学)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年2月末から予定していたインドにおける調査が新型コロナの蔓延により、出張前日にインド政府が到着ビザの発給を停止したために、予定していた調査ができなくなったため。しかし、英国調査で入手した資料そのものの研究とその関連研究は当初の予定のとおり進捗している。また本研究課題において全文の写真撮影で入手した1807年のラサール訳の影印出版は、本研究課題の計画には入っていなかったが、愛知大学の出版助成に応募し、出版の内諾を得ることができた。これについては、本来、本研究課題終了後に改めて科学研究費の出版助成に応募するつもりであったが、前倒していち早く本研究課題の研究成果の根幹部分を社会に還元できることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度2020年度では2019年度に入手したラサール訳の影印出版の作業を行う。新型コロナウィルスの流行状況も見ながら、必要に応じて渡英し所蔵図書館と最終確認を行う。また2019年度に予定していたインド調査については、渡英の可能性とインドにおける新型コロナウィルスの状況も見ながら、予算的に可能であれば渡印して調査を行いたい。インドでの調査が行えない場合は、1807年のラサール訳と1810年のマーシュマン・ラサール訳、1822年のラサール訳での比較は可能であるので、本研究課題の目的を達成するにあたり致命的な支障はきたさないものと考えている。2020年度においては、1807年のラサール訳におけるキリスト教用語や音訳語、その他の訳文の特徴について、詳細な分析・考察を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ・ウィルスの流行により、研究ミーティングや2019年2月末~3月上旬までに予定していたインド調査が中止となったため。また同ウィルスの蔓延により研究室の使用が制限されたため研究がやや停滞し、そのために備品の購入がなかったため。さらに1807年のラサール訳の本文の電子テキスト化を研究代表者で完成させることができ、人件費を圧縮することができたたため。
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Research Products
(4 results)