2023 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the Formation of Terms and Styles in the Chinese Bible by Protestant Missionaries in the Early 19th Century of India
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19K00570
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
永井 崇弘 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(総合グローバル), 教授 (80313724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩山 正純 愛知大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (10329592)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 漢訳聖書 / インド / ラサール / マーシュマン / 語彙・文法 / 人称代詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度ではコロナ禍により延期となっていたインドのコルカタおよびセランポールにおける文献調査を研究分担者とともに実施した。コルカタのアジア協会図書館では、モリソン訳と推定される漢訳聖書のほか、4点の英華字典をはじめとする19世紀の関連文献の所蔵を確認した。インド国立図書館では漢訳聖書は確認できなかったが、フォート・ウィリアム・カレッジの蔵書印が付された近代中国語文献の所蔵を確認するとともに、カレッジの蔵書の流転について同図書館員から情報を得ることができた。また、セランポールのセランポール・カレッジにあるウィリアム・カレー博物館書庫では、マーシュマン・ラサール訳の1813年版の旧約の部分と1822年版の旧約の部分の所蔵確認と閲覧を行った。1813年版として装丁されている版では二人称代詞の「爾們」の使用が認められ、前年度の調査で確認したオックスフォード大学アンガス図書館藏のヨハネの福音書と一致することから、当該訳本が1813年版であることに矛盾がないことを確認した。1822年版とされる版本も版面と金属活字の使用から1822年版であることを特定した。 本研究課題にかかる論文『拉沙漢譯聖經諸譯之人称代詞』(永井崇弘、単著、2024年3月、関西大学中国文学会紀要45号)では、これまで収集したラサール、マーシュマン・ラサール系漢訳聖書4種と1823年のモリソン訳における人称代詞の比較考察を行った。各版本における人称代詞の種類と使用頻度の特定を行ったうえで、各版本間の比較考察を行った。特に1807年のラサール訳における広東語の「我的」の使用と1813年版における二人称複数を示す「爾們」の使用確認は、各版本の各種人称代詞の使用順序の解明という成果に加え、ラサール訳およびマーシュマン・ラサール訳における言語的特徴の発見であるとともに、書誌情報のない版本の特定に資する重要な指標となるものである。
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