2021 Fiscal Year Research-status Report
へき地離島におけるチーム医療の解明と健康格差解消に向けた実証研究
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19K00577
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Research Institution | Aomori Public College |
Principal Investigator |
植田 栄子 青森公立大学, 経営経済学部, 准教授 (70445162)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 診療談話 / へき地医療 / 高齢者 / 患者中心の医療 / チーム医療 / 健康格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度に取得した診療場面の録画データの整理および文字化資料の検討を継続して行っている。従来の計画から本年度も大幅に遅れているが、県外出張が規制され全面禁止となった時期が長期に渡ったため、今年度も挽回することは困難だった。 また、オンラインでは対象となる高齢者島民へのアクセスは不可能なので、代替案が依然として見つからない状態である。 なんとか、2022年度の研究再開を目指したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度も新型コロナウィルス感染症対策として、離島である豊島には一切の渡航を控えなくてはならない状況が続く結果となった。その主な原因は、調査対象としている豊島では、1)診療所に通院する島民は高齢者が9割を示す、2)医療体制が脆弱であるため、島外からの訪問客を全面的にシャットアウトする、3)診療所の医師、看護師、事務員のほぼ全員が60歳以上とハイリスクの年代である。 以上から、新たな診療会話のデータ収集、聞き取り調査といった対面を前提とするフィールド調査が実施ができない状態が継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は県外の移動は緩和されてきているが、今度は延期されていた「瀬戸内芸術祭2022」が開催される年となってしまい、非常に困った状態になっている。その理由は、下記に示したように芸術祭開催により大幅な渡航者・訪問客の急増である。 瀬戸内芸術祭は、特にヨーロッパからの来訪者に人気のアートフェスティバルであったが、今年も例年同様、島々を会場として会期も3つに分けるスタイルである。すでに春会期:4月14日ー5月18日は閉幕された。この35日間に瀬戸内芸術祭の開催地(豊島を含む)来場者数の総数は、228,133人を記録している。これは、前回2019年開催の春会期(31日間)来場者386、909人には及ばないが、このコロナが終息していない春においても、実に23万人が押し寄せているのは驚きである。研究対象とする豊島の来場者数も、26、953人を記録している。これでは夏会期:8月5日〜9月4日、秋会期:9月29日〜11月6日においては、うなぎ登りの来場者急増が予想される。この時期に定期的な島への来訪と対面調査が可能かどうか、十分に診療所スタッフ(医師・看護師・事務員)の十分な理解が得られるか非常に難しいと思われる。計画としてはフィールド調査再開を願いたいが、瀬戸内芸術祭の開催年に当たってしまった今年度は、重ねて対象となる患者、医療スタッフへの配慮が求められて思うように進めることが非常に困難であると言わざるを得ない。慎重に今後の研究についての方策を検討して受け入れ先の負担にならない範囲で可能なことを鋭意努力していきたい。
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Causes of Carryover |
フィールド調査の経費として旅費を計上していたが、新型コロナウィルス感染症が終息しない現状から、出張が不可となり、旅費の支出が全く執行できなかった。さらに、本来なら収集データの処理による人件費の支出を想定していたがこれも未支出となった。以上の理由から、研究費を翌年度に繰り越さざるを得なくなった。ただし今年度についても前述したように、観光客が島内に集中する国際的イベント開催により、使用計画を明言できない事態である。
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