2020 Fiscal Year Research-status Report
言語文化に起因する価値観とフェイスが表出する「舌打ち」と「笑い」の実証的研究
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19K00580
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
萩原 孝恵 山梨県立大学, 国際政策学部, 教授 (90749053)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | タイ人日本語学習者 / ベトナム人日本語学習者 / 日本語母語話者 / オンライン会話 / 初対面会話 / 二者間会話 / 舌打ち / フィラー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、非言語行動としてタブー視される「舌打ち」と、特におかしくもないところで笑う不可解な「笑い」を、①意味・機能、②価値観、③フェイスという3つの観点から明らかにしようとするものである。2年目にあたる2020年度は、コロナ禍の影響により遅れていた会話データの収集と、舌打ちや笑いと共起性が高いフィラーの調査に取り組んだ。 会話データの収集では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、2020年3月に予定していた現地調査を中止せざるを得なかったため、今年度はデータ収集の方法を対面ではなくオンラインに変更し、ZOOM(ウェブ会議システム)を利用し収録した。ただし本研究が着目する舌打ちについては、対面であっても採取が困難であることから、事前に日本人会話参加者には会話の流れをある程度設定した実施計画書を確認の上、会話に参加してもらった。会話参加者は、タイ在住のタイ人8名、日本在住のタイ人8名、日本在住のベトナム人10名、日本人3名である。収録時間は1時間程度で、初対面二者間の会話データを合計27本(1名マスク着用のため2回参加)収集した。 フィラーの調査では、発話に伴う舌打ちや笑いとの共起性の高さから、フィラーのような非語彙要素のコミュニケーション行動においては、その使用に母語別集団性がみられるのかという観点で検討した。調査データは、国立国語研究所の「多言語母語の日本語学習者横断コーパス International Corpus of Japanese as a Second Language」(I-JAS)を利用した。すでにベトナム人日本語学習者50名と日本語母語話者50名については調査を終えていたため、今年度は当該結果にタイ人日本語学習者50名の調査結果を加え、比較検討した。本調査結果は、2021年3月に行われたタイ国日本語教育研究会第33回年次セミナーで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に基づく会話データの収録と、舌打ちや笑いと共起するフィラーに関する調査の進展から、上記評価とした。具体的には、以下の通りである。 1.映像データ27本収集 初年度にあたる2019年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、2020年3月に予定していた現地調査を実施することができなかったが、2年目にあたる2020年度は、現況で実施可能な会話データを収集するといった計画の見直しを行い、ZOOMを利用した映像データを27本収集することができた。データは初対面二者間の会話で、1時間程度のものである。収集した会話データは、対面ではなくオンラインという形態ではあるが、会話者間の設定等については当初の研究計画に基づくものである。 2.「I-JAS」に収録されている発話タスクの母語話者別フィラーの調査 初年度にあたる2019年度は、ベトナム人日本語学習者50名と日本語母語話者50名のフィラーの使用に関する調査を行った。この調査結果を踏まえ、2年目にあたる2020年度は、「I-JAS」に収録されている同じ発話タスクを対象に、タイ人日本語学習者50名のフィラーの使用傾向を調査した。当該調査結果については、タイ国日本語教育研究会第33回年次セミナーで発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
・当初ベルギー・ゲント大学で開催される予定であった「第24回ヨーロッパ日本語教育シンポジウム(16th EAJS International Conference 2020)」がオンラインで開催されることとなり、2021年8月に発表が予定されている。 ・2020年度に収集した映像データの文字化作業を進める。 ・ベトナム人日本語学習者50名、タイ人日本語学習者50名、日本語母語話者50名のフィラーの使用傾向について、研究成果を発表する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響によるものである。 ・現地通貨での支払を予定していた海外在住者に対し、謝金等の支払いができていない。支払いが可能になり次第、支払う。 ・2020年3月に予定していた現地調査は中止せざるを得ない状況であったことから、今年度データ収集を行った。これらの文字化作業やデータ整理に対し、人件費・謝金を使用する。 ・データ収集の遅れから、分析ソフトが未購入である。次年度以降購入する。
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Research Products
(3 results)