2020 Fiscal Year Research-status Report
Experimental syntax and psycholinguistic investigation of unaccusativity
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19K00586
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Research Institution | Tsuda University |
Principal Investigator |
小野 創 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (90510561)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日本語 / 非対格動詞 / 文理解 / 統語論 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は昨年度まとめてきた実験の結果について、数名の研究者と情報交換をし、論文化にあたってどのような追加の実験を実施することが望ましいか検討することができた。意図性を表現する副詞の存在によって非対格性が操作できることが明確になった点は、多くの研究者に好意的に受け止められたという成果があった。一方で、どのような仕組みを持ってそのような動詞の2分化が獲得できるのかという非常に難しい問題が存在している。この点については、その問題の重要さが際立つという点で本研究課題の意義が認められた。研究室の大学院生らとともに、表面上区別のできない語彙要素が統語的もしくは意味的に異なる振る舞いをする現象について広く検討する実験を計画し、一部は実施することができた。先行研究での観察について、やや実験の統制が不十分だと思われる点を改善した実験を計画し、結果に見られる測定値の分布の広がりの原因について検討した。これらの検討を通して得られた観察と先行研究を比較することで、実験で用いられた刺激の非常に小さな特徴が結果にある程度影響を与えていることがわかり、今後はそれらの点を考慮に入れた計画を着実に行うことが重要であるということが明確になった。 主に日本語を用いた研究について考えたが、言語間の違いを明らかにすることも本研究課題の一部であるため、中国語の非対格性について文献調査を開始した。英語と中国語を比較した、おもに第二言語習得論の観点で書かれた論文は多いが、それ以外のものは思ったより多くないと思われるので、中国語の統語論の観点で書かれた論文と非対格性のテストと思われる現象を丁寧に整理することが必要だと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度については、ある程度予定していた実験を実施することができ、また大学院生が論文を作成していることを見ると、ある程度進捗が得られていると感じる。一方、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、来年度は実験の実施が極めて難しく、また研究室の活動を大幅に制限する必要があるため、十分な進捗が見込めない。
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Strategy for Future Research Activity |
上で述べたように、新型コロナウイルス感染拡大による影響が大きい。人から得るデータをもとに研究を進めていく計画であるので、リモートで研究を進めるのが難しい。オンライン上で調べることができるデータも存在するが、2年目以降に計画していた事象関連電位計測実験については実施の見込みが立たない。別の形での実験を計画する必要がある。また出勤停止・研究室を使うことができないという環境からの制限も大きい。授業にかかるコストが予想していたよりも大きいことにより、研究に割けるエフォートが少なくなっていることが懸念される。
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Causes of Carryover |
上で述べたように、新型コロナウイルス感染拡大による影響が大きい。人から得るデータをもとに研究を進めていく計画であるので、リモートで研究を進めるのが難しい。オンライン上で調べることができるデータも存在するが、2年目以降に計画していた事象関連電位計測実験については実施の見込みが立たない。別の形での実験を計画する必要がある。また出勤停止・研究室を使うことができないという環境からの制限も大きい。授業にかかるコストが予想していたよりも大きいことにより、研究に割けるエフォートが少なくなっていることが懸念される。
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