2019 Fiscal Year Research-status Report
ドイツ語におけるモダリティ表現の通時的研究-接続法と話法の助動詞を中心に
Project/Area Number |
19K00587
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西脇 麻衣子 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (60613867)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 古高ドイツ語 / 中高ドイツ語 / 接続法 / 従属節 / 不定代名詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ドイツ語におけるモダリティ表現の主な担い手は、接続法、話法の助動詞、話法の副詞、そして不変化詞(心態詞)である。本研究課題では、これらのモダリティ要素のうち、文法的な特質をもち、かつ、その意味論的・統語論的ふるまいを通時的に観察することのできる接続法と話法の助動詞を主な対象としている。 古高ドイツ語期において、接続法は、主節中にあるか従属節中にあるかによってその機能が異なるとされている(Schrodt 2004, Petrova 2008)。本研究では、特に従属節中の接続法に着目し、そのような従属節を埋め込み文としてもつ主節の動詞タイプの違いや、主節における否定表現の有無、従属節自体の文タイプの違い、また、文タイプが同じでも直説法が用いられている場合などの統語環境の分析を通じ、接続法の意味・用法の歴史的変化を考察することを一つの目標としている。 そのため、初年度は、まず、古高ドイツ語・中高ドイツ語期のいくつかのテキストの一部分を対象に調査・分析を行うとともに、従属節及び接続法に関する二次文献を収集・講読した。また、主節に否定辞がある場合の従属節の統語環境(特に、法のタイプ、主節の時制との関係、従属接続詞の種類、語順)についてパイロットスタディを行った。その結果、中高ドイツ語では、このような統語環境に不定代名詞ihtが高い頻度で現れることが分かった。ihtは、形態上、古高ドイツ語のwihtに遡ることができるが、wiht及びihtのもつ文法的機能について、アジアゲルマニスト会議で発表するとともに、論文としてまとめた(この会議の論集に投稿中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度(2019年度)に大学を異動したため、特に教育環境が大きく変わり、結果的に研究に時間を割くことが難しかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、従属節中の接続法に着目し、その統語環境について、古高ドイツ語・中高ドイツ語期のテキストの分析範囲を広げて調査・分析を行う。その際、特に、接続法だけではなく話法の助動詞が用いられている従属節のタイプについても検討したいと考えている。
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Causes of Carryover |
理由:購入を予定していた図書の年度内の納品が困難であったため。 使用計画:この図書は次年度に購入予定である。
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