2021 Fiscal Year Research-status Report
アフロアジア大語族の歴史解明に資するウォライタ語とその関連言語の研究
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19K00596
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
若狭 基道 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (30436670)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ウォライタ語 / 基礎語彙 / 音配列規則 / エチオピア |
Outline of Annual Research Achievements |
過去に集めたウォライタ語(エチオピアの南西部で話されている言語)の録音資料を改めて聞き直し、分析をした。これにより、今後行う予定のガモ語等の近隣諸言語の基礎語彙調査に際し、どのような点に注意を払わなければならないのか、確認作業を進めている。これにより、調べる調査項目の順序、特に注意を払わなければならない音声面での現象、慎重な確認が求められる語形成とそれに関する意味、等を洗い出すことが出来た。また、嘗ての調査の不備も多く見付かったので、今後ウォライタ語に関して(改めて)調べるべき項目をリストアップした調査票を作成する事にもなった。以上は、ウォライタ語の記述的研究の面でも、他の諸言語との比較研究の面でも有益な準備となった。 これに加えて、各種文献を用いて、主なクシ系・オモ系の言語(多くはウォライタ語地域の周辺で話されている言語である)の音配列規則、具体的には語の初頭音に関する頻度の調査を行った。過去の調査でウォライタ語と近隣のカンバタ語ではn音で始まる語が相対的に極めて少なく、その一方m音で始まる語は圧倒的に多い事が判明しているが、それが他の言語でも見られる事なのかどうかを確認した。使用に耐え得る文献は予想通り少なく、改めて現地でのフィールドワークを行う必要性を確認したが、大まかな傾向を掴むことは出来た。これら一連の言語の歴史を考える際に無視出来ない情報を得られたと考える。これに関しては近々学会で成果を発表すべく、準備を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
エチオピアでフィールドワークを行い、新たな資料を収集すると共に、疑問点を解明するのが本研究の中心であったが、世界的な新型コロナウイルスの流行、及び現地での政情不安により、これを断念せざるを得なくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナが終息するのを待ち、政情等の安定を充分に確認してから現地調査を再開する予定である。 とは言え、現時点ではいつになるか、見通しは立っていない。それまでは国内で、収集した資料の整理を行うことになる。
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Causes of Carryover |
本来令和3(西暦2021)年の夏(及び令和2(西暦2020)年の夏)に現地調査を行う予定であったが、コロナ禍で実施出来なかった。 コロナが終息した後に、現地調査を行うための旅費として使用する予定である。
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