2022 Fiscal Year Research-status Report
朝鮮語の閉鎖音に関する音声学的方言類型論研究:慶尚道方言の事例
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19K00597
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山崎 亜希子 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 准教授(任期付) (80821850)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 慶尚道方言 / アクセント / VOT / F0 / 高周波数帯域の強度 / 平音 / 激音 / 濃音 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)COVID-19の影響により、2022年度予定していた韓国および日本国内でのデータ収集を行うことができなかったため、2021年度同様、すでに入手済みの朝鮮語慶尚道方言(大邱方言・釜山方言)および朝鮮語ソウル方言話者データの分析を進めた。分析範囲を閉鎖音から摩擦音の2系列(濃音、非濃音)にも拡大し、引き続き3つの音響パラメータ(VOT、F0、子音区間の高周波数帯域の強度)を用いて分析を進めた。さらに、ソウル方言の特徴と対照し、相違点の記述を進めた。
2)2021年から新たな試みとして着手した、日本語母語話者による朝鮮語(韓国語)学習者の朝鮮語音声の分析を進めた。発話音声を収集し、音響パラメータ(VOT、F0、子音区間の高周波数帯域の強度)を分析、観察から得られたデータからソウル方言話者とどのような共通点や相違点を見せるのかをパラメータごとに対照した。特に、学習者の認識と実際の発話で観察される音響特徴に着目し、学習者が朝鮮語の子音をどのように捉え、どう発音に反映しているのかを考察し、その結果の一部を国際学会で発表した。2023年度も引き続き分析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年に引き続き、COVID-19の影響により、計画していた韓国および日本国内での発話データ収集ができなかった。データ収集が可能になるまでは、引き続き既存のデータを用いて分析を進める。 代替として、既存の方言(ソウル、慶尚道)データを活用した分析を進めた。また、日本語母語話者による朝鮮語(韓国語)学習者音声にも分析対象を拡大し、感染対策に留意しつつ、日本国内で学習者発話音声の収集を行い、ソウル方言話者データとの対照を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19が終息傾向となり状況と環境が整った後、韓国での新規発話データ収集を再開する。これまで入手済である方言発話データ(ソウル、慶尚道)も活用しつつ、定性的な観察を通じて被験者個別の子音体系記述を重点的に行い、引き続き、子音体系という観点から解釈・検討することを目指す。また、2022年度に引き続き、学習者における朝鮮語音声バリエーションに注目し、子音対立を保つ音響特徴についてソウル方言話者データとの対照を進める。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により、2022年度予定していた韓国および日本国内でのデータ収集が困難であった。2023年度はデータ収集を再開する予定である。
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