2021 Fiscal Year Research-status Report
ザンジバルにおけるスワヒリ語諸変種の関係を探るための挑戦―語彙と文法に着目して―
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19K00604
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹村 景子 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (20252736)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ザンジバル / スワヒリ語諸変種 / マイクロバリエーション |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度も2020年度に引き続き、コロナ禍の影響によりタンザニア連合共和国におけるフィールドワークが全くできないままに終わった。ザンジバル島北部の「トゥンバトゥーゴマニ変種」の本格的な文法記述と基礎語彙3000語の収集、また、ペンバ島における「ミチェウェニ変種」の調査も本格化させたいと願っていたが、かなわなかった。本研究はフィールドワークによるスワヒリ語諸変種の記述ができなければ進展させることが非常に難しいため、新しい発見等は残念ながら皆無である。 しかしながら、研究協力者の宮﨑久美子氏との共同発表"On the grammatical variation in 'Viswahili' in Zanzibar"をThe 8th International Conference on Bantu Languages (University of Essex, UK) において2021年6月2日に行い、特に海外のスワヒリ語研究者から今後の研究に大変有益となるコメントを多数得ることができた。その発表を聴いたイギリスのスワヒリ語研究チームからは、現地調査における留意事項などについてのサジェスチョンを求められ、オンラインでのディスカッションを行った。 また、10月11日には「関西アフリカ言語研究会」を行い、上記の宮﨑久美子氏との共同発表を日本語で行った。同研究会では、記述言語学、社会言語学の分野における最新の研究動向を学び、様々な情報交換を行うことができたので、非常に有意義であった。 スワヒリ語を広く日本社会に紹介する一助とするため、絵本翻訳にも携わった。宇都宮大学の阪本公美子氏、弘前大学の杉山祐子氏、東京外国語大学の坂井真紀子氏執筆の『ニョタのふしぎな音楽―タンザニアの星空の下で』のスワヒリ語訳を行い、日本とタンザニアとの関りについて両国の子どもたちに伝えるプロジェクトに参加できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度に引き続き、コロナ禍により海外渡航が全くできない状況になったため、タンザニア連合共和国でのフィールドワークができなかったことで、これまで重点的に記述研究を行ってきたチャアニ変種以外の変種に関する調査を進めることができなかった。チャアニ変種についても、2019年度に進まなかった基礎語彙3000語の収集および確認を進める予定であったが、それもかなわなかった。本研究では、最終的に複数変種の「基礎文法・語彙まとめ」を行うことを目指しているが、手始めとして行う予定のチャアニ変種についてまた着手できなかったことで、かなりの危機感を覚えている。 現在はオンラインによる調査も行われているかも知れないが、本研究が対象としているスワヒリ語諸変種が話されている地域では停電が多く、あるいは、そもそも電気がまだ通っていない村落部もあるため、調査協力者にオンラインで質問をするという方法を採ることが難しい。また、新しく調査を開始するためにはその村落部の長からの許可を必ず得なければならない。それはオンラインでは到底不可能である。現地在住の研究協力者である宮﨑久美子氏も、本調査を遂行できる状況にはなかったため、2021年度の研究は遅れたと言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後のコロナ禍の状況にも左右されるが、現地調査が可能になった場合はできるだけ多くの村において各変種の基礎語彙600語および3000語の収集をはかる。また、文法については、バントゥ諸語文法調査票を用いて基礎文法事項の収集をはかるとともに、バントゥ諸語特有の動詞派生について特に重点的にデータ収集を行いたい。ザンジバル島全体について網羅できるかどうかは現時点では不明であるが、少なくともザンジバル島内で「北部」「中部」「南部」と大雑把に分けられてきた「方言」の実態を明らかにすることと、また、ペンバ島については「ペンバ方言」と一括りにされてきたものの実態を明らかにすることが目標であることから、少なくとも各地域で3変種ずつくらいのデータを収集するように努めたい。特に、2019年度にパイロット調査を開始した「ミチェウェニ変種」については重点的に調査を行いたい。 なお、コロナ禍により2022年度も現地調査が困難である場合、現地在住の研究協力者である宮﨑久美子氏に全面的に調査遂行を依頼する予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度に引き続き、コロナ禍のために本研究の最大の研究費使用項目である「海外渡航費」がゼロとなり、また、そのことによって新しいデータを入手するための調査協力者の雇用もなくなった。新データが皆無であることから、日本においてデータ入力等のアルバイトを雇用する必要もなかった。研究代表者自身がこれまでに収集したデータの整理を行うためにPCを購入したので、2021年度支出はその物品費のみである。 2022年度は、コロナ禍の状況にもよるが、研究代表者が短期間でも現地渡航することを予定しており、また、現地在住の研究協力者にも複数の村落部に出向いて新規の調査協力者を得て調査を開始してもらう予定であることから、相応の費用が必要である。
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Research Products
(2 results)