2019 Fiscal Year Research-status Report
現代バスク語諸方言の音韻と文法の記述 ~地域差と世代間差の二つの側面から~
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19K00611
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
吉田 浩美 神戸市外国語大学, 外国学研究所, 客員研究員 (70323558)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 現代バスク語 / 地域変種 / 世代間変種 / 文法 / 音韻 |
Outline of Annual Research Achievements |
現代バスク語スマイア方言,アスペイティア方言,セストア方言について,前科研(基盤研究(C)(一般),課題番号:26370491)からの続きとなる調査を行なった,同アスコイティア方言については新たに調査を開始した. 1.スマイア方言については「再帰的動作・行為を表す構造,相互の動作・行為を表す構造」に関する若い世代の話者のデータの補完を目的として行なっ た.2.バスク語アスペイティア方言については「不規則な振る舞いをする動詞」に関する若い世代の話者のデータの補完を行なった.3.セストア方言につ いては「不規則な振る舞いをする動詞」に関する親世代の話者のデータの補完を行なった.4.アスコイティア方言については,若い世代の話者に関するデー タの収集をゼロから行なった.200あまりの動詞の用法,および名詞のアクセントの調査を行なった. セストア方言とスマイア方言については現時点では,親世代と子世代の間には,名詞のアクセントと語彙の面での相違が見られるものの,動詞の用法について は顕著な差は見られていない.アスペイティア方言においては,アクセントの相違に特筆すべき点が見られること,不規則な振る舞いをするいくつかの動詞につ いて相違が顕著である.アスコイティ ア方言については若い世代の話者のデータを相当量得られたが,親世代の話者に関するデータは別科研によって2020年2月に開始した. 方言をまたいで顕著なのは,親世代の名詞のアクセントは方言ごとに特徴があるが,若い世代の名詞のアクセントは地域が異なっていても類似点が多いことであ ると言える.同じ地域でも言語環境が異なることが多々あるので究極的にはidiolect的な差も大きいと言えるが,一般的な様相も見えていると言える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初から予定していた地域変種のデータは概ね順調に得られているが,今回はできればバスク語エレシル方言のデータ収集に着手したかったが,調査協力者との日程調整がうまくいかず,実現できなかった.その分,アスコイティア方言の若い世代の調査が捗ったとは言えるが,できればエレシル方言のデータを少しでもとっておきたかったので,「やや遅れている」の自己評価とした.
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Strategy for Future Research Activity |
バスク語セストア方言,アスペイティア方言については親世代・子世代ともにデータがほぼ揃っているが,細い点を洗い直してデータを補完する.サラウツ方言については親世代のアクセントに関するデータが不十分であるので,その補完を目指す.スマイア方言とアスコイティア方言については親世代のデータが文法面・音韻面共に揃っていないので,その補完を目指す.エレシル方言はアスペイティアに隣接している地域であるが,音韻の面で特に顕著に異なる特徴を持っているので,非常に興味深い方言であると言え,そのデータ収集に着手する.
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