2021 Fiscal Year Research-status Report
現代バスク語諸方言の音韻と文法の記述 ~地域差と世代間差の二つの側面から~
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19K00611
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
吉田 浩美 神戸市外国語大学, 外国学研究所, 客員研究員 (70323558)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 現代バスク語 / 地域変種 / 世代間変種 / 動詞語彙 / 動詞述語の用法 / 文法 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナウイルス禍による渡航制限のため,本研究の基盤となる現地フィールドワークによるデータ収集が2020年度に続き2021年度にも実施できなかった.Zoomなどのツールを利用した遠隔でのフィールドワークも試みたが,時差の関係や通信状態の不具合など物理的な事情により,実際の対面による現地フィールドワークによるデータ収集の効率と効果には遠く及ばなかったと言える.そのため研究を進めるための新しいデータを得ることが非常に困難であり,研究の進捗状況ははかばかしくないのが現状である.しかしながら,これまで収集したデータを再確認し,その中から興味深いトピックを掘り起こすことにより,また首都圏在住のバスク語母語話者の協力を得るなどして,本研究の課題である「現代バスク語諸方言の世代間の違い」についていくつかの側面を見直すことはできたと思う.具体的には,バスク語アスペイティア方言について,現在の親世代については,彼らが今の子世代と同世代であった頃のデータおよび現在のデータ(若い頃と同じような語彙や用法を保っているか)を使用,子世代については2019年度以前に得られていたデータを使用し,動詞語彙と助動詞を中心とする動詞述語の用法に的を絞り,分析を行った.その結果は「バスク語アスペイティア方言の助動詞に関する世代間の差異」のタイトルで,2021年度ユーラシア言語研究コンソーシアム年次総会「ユーラシア言語研究 最新の報告」(2022年03月29日,於京都大学)において報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍による渡航制限のために,本研究の生命線とも言える現地フィールドワークによるデータ収集が行えなかったため.(1) 首都圏在住のバスク語母語話者に協力を仰ぐ,(2)Zoomなどを使用して遠隔でフィールドワークを行う,など,代替の方法も実施したが,実際のフィールドワークの効率には及ばなかったと言える.(1)については,本研究のダーゲットであるバスク語の地域変種の母語話者が親世代の1人しかいないこと,(2)については時差や,通信面などの物理的障壁(調査協力者がパソコンを使用していない,インターネット環境が整っていない,など)により,うまくいかないことが多々あったことなどが理由である.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の根幹は,まずは現地母語話者からのデータを得ることにある.データ収集が十分にできないことには研究が進まないわけである.2022年度は,渡航制限も緩くなると考えられ,現地フィールドワークを実施したい.バスク語アスペイティア方言については調査・分析がもっとも進んでいるが, (1)同アスコイティア方言についてはまだデータがかなり不足している状況である. (2)同サラウツ方言と同セストア方言と同スマイア方言については,文法調査に比べ語彙面の調査が遅れている. これらの,調査が不足している次の地域変種について親世代・子世代のデータを補いたい,順次分析を進め,成果を報告したいと考えている.
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Causes of Carryover |
本研究の基盤となるのは,現地フィールドワークによるデータの収集であり,科研費の大部分はこれに使用される予定であった.が,コロナウィルス禍により,2020年度および2021年度の2年に渡り,現地フィールドワークによるデータの収集ができなかったため,予算を繰り越すことになった.
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Research Products
(1 results)