2021 Fiscal Year Annual Research Report
日英語比較統辞論に基づく併合手続きの研究:統辞構造はどのように生成されるのか
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19K00612
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
北原 久嗣 慶應義塾大学, 言語文化研究所(三田), 教授 (50301495)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生成文法理論 / 極小モデル / 併合操作 / 作業空間 / 演算効率 / 過剰生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,補助期間全体を通じて,語彙項目の特性,併合の定式化と適用手続き,その手続きを厳しく制約する一般法則,という三つの要因とその相互作用から,類型論的に異なる日英語の統辞構造の多様性を演繹的に説明することを試みた。その取り組みは,普遍的な言語の仕組み(普遍文法)から多様な言語の現れ(個別文法)を導出することに他ならず、その成果は生成文法理論の今後の展開に大きな影響を与えるものと考えている。
最終年度の2021年度は,併合を作業空間に適用する操作として捉え直し、一般原理との相互作用から、併合の適用方法が導き出される分析を検討することから始めた。具体的には、日英語に観察される統辞構造の多様性が厳密に制限された範囲内に留まることを明らかにし,極小モデルが言及する演算効率 (Computational Efficiency) に関する一般法則に光をあて、併合の最適な手続きを一般法則から演繹的に導き出す分析を提出した。ここで得られた知見は、併合の自由適用が過剰生成 (overgeneration) の問題をどのように克服しているかを示している。さらに2021年度の研究で明らかになった作業空間の要素の保存と増加を制御する一般原理の緊張関係は,今後の生成文法理論の展開においてその重要性が増してくるように思われる。
2021年度も,Covid-19の世界的流行という厳しい状況下で研究を推進することとなったが、インターネットによるネットワーク化を進めるなか、オンライン上で専門知識・意見の交換を行い、予定していた研究課題には十分取り組むことができたと考えている。
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Research Products
(7 results)