2019 Fiscal Year Research-status Report
終助詞に関する類型論的研究-日本語と韓国語を中心に-
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19K00618
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
金 善美 天理大学, 国際学部, 教授 (20411069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田窪 行則 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 所長 (10154957)
千田 俊太郎 京都大学, 文学研究科, 准教授 (90464213)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 終助詞 / 終結語尾 / 情報管理機能 / 韓国語 / 日本語 / 韓国全羅南道方言 / 自然発話 / 宮古語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の初年度の2019年には次のような研究活動を行った。研究代表者と研究分担者の計3人は、本研究のテーマと関連し研究発表活動を行った。また韓国全羅南道方言の現地調査を2回行った。さらに韓国全羅南道方言の専門家のイ・ギガプ(李基甲)教授を日本に招いて言語学関連研究会で2回講演をしていただいた。以下詳述する。 まず研究発表活動において、金善美は韓国語と日本語の終助詞と終結語尾の情報管理機能について学術誌に発表した。また情報管理機能と関連する研究として推量・意志を表す韓国語の-keyss-、-ul kes i-の出現様相について執筆した。田窪行則は従属節における係りの深さと受けの広さの相関について執筆し、統語論と談話管理に関する考察を行った。また、宮古語のアーカイビングに関して、Archiving system of endangered languages in Japanと題する発表を行った。千田俊太郎はパプア諸語と日本語の源流について執筆し、シンブー諸語と語声調について、朝鮮語の述語と証拠性・意外性について研究発表を行った。またイ・ギガプ(李基甲)教授の「韓国語方言の談話標識」と題する論文を日本語に翻訳した。 次に韓国全羅南道方言の現地調査を計2回行った。第1回目は2019年8月に韓国全羅南道務安郡にて20代・50代の全羅南道方言母語話者を対象に、第2回目は2019年12月末に韓国全羅南道木浦にて20代・50代・70代の全羅南道方言母語話者を対象に自然発話の言語データを収集した。 最後にイ・ギガプ(李基甲)教授を日本に招いて言語学関連研究会で「On some grammaticalizations in the southwestern dialect of Korean」と題する研究発表と「韓国西南方言の否定法と確認疑問法(原著:韓国語)」について研究発表を行っていただいた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、研究初年度の2019年には韓国全羅南道の木浦市にある国立木浦大学の学生達を対象にインタビュー調査を行うことで若年層の木浦方言話者の言語データを集める予定であった。また研究2年目に老年層の言語話者のインタビュー調査を行い、韓国全羅南道方言の終助詞の出現の様相を検討する予定であった。ところが予想を上回り、現地の学生が自分の家族や知り合いを紹介してくれたことによって研究初年度に壮年層と老年層の言語データも集めることができた。当初の計画では、初年度は1回のみ現地調査を行う予定であったが、計2回の現地調査を行うことができ、さらに第2回目には老年層の言語データも集めることができたため、研究2年度に行う予定であった言語データまで集めることができた。研究成果の発表においても発表先には変更があったが、発表の回数においては当初の予定を少し上回る感じで行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目には研究1年目に集めた自然発話の言語データの書き起こし作業と分析を行い、韓国全羅南道方言の終助詞の出現の様相についての若年層と老年層の使い方の違い等について比較検討を行う。またその研究成果を韓国や日本の学会で発表したり、関連学術誌において発表する。
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Causes of Carryover |
年度末に調査のため使用する予定であった旅費が、新型コロナウイルス感染症予防のため使用できず、令和2年度に繰り越した。 対面での調査が難しくなってきたので、オンラインの調査・動画撮影とその書き起こしのための謝金として使用する。
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Research Products
(16 results)