2019 Fiscal Year Research-status Report
福島県相双方言の調査研究-方言研究は被災地にどのように貢献できるか-
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19K00622
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
半沢 康 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (10254822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉懸 元 医療創生大学, 教養学部, 教授 (10454357)
武田 拓 仙台高等専門学校, 総合工学科, 教授 (20290695)
佐藤 亜実 東北文教大学短期大学部, その他部局等, 講師 (20829197)
白岩 広行 立正大学, 文学部, 専任講師 (30625025)
本多 真史 奥羽大学, 歯学部, 講師 (70806158)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 危機方言 / 実践方言学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,東日本大震災による福島県被災地域の方言資料を収集するとともに,方言調査を介した被災地支援のための方法論について考察し「実践方言学」構築の一助とすることにある。 東日本大震災によって甚大な被害を受けた福島県相馬・双葉地方(相双地方)の自治体を訪問し,関与型傍受法による方言の自然談話収集調査を実施する。危機方言化が懸念される相双方言の保存・継承に向けて方言談話資料を多数収集し,当該方言の総合的な記述・分析を進める。 本研究で実施する調査は,学術目的のみにとどまらず,被災された方々の心的支援や被災自治体の復興支援をも兼ねて実施される。その支援の効果を検証し「方言研究による社会貢献」のあり方について被災自治体とも協働しながら検討する。 2019年度は,すでに十分な協力体制が構築できている楢葉町において調査を行なった。調査員には事前に調査技法等の指導を十分に行うとともに,調査が被災された方々の支援活動でもあること,傾聴支援を十分心がけることを徹底した。 調査で収録した方言談話は,福島県内の業者に依頼しておおまかな文字化を行った。現在,研究者が音声表記等,細部を修正している。この資料を用い,現在進めている相双方言の分析・記述のさらなる精緻化を図る。 楢葉町の協力機関とは複数回にわたって,調査の実施方法,効果,課題等について検討の機会を持った。自治体関係者と情報を共有しながら,被災地への支援につながる効果的な方言調査の実施方法について検討をおこなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は予定していた楢葉町の調査を実施し,多数の方言談話資料を収集した。また上記の通り,被災自治体との協働も着実に進展しており,研究は計画通り遂行できている。 後掲の研究成果に加え,さらに学術誌への投稿論文の準備も進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
世界的なcovid19蔓延の影響により,2020年度の現地調査はほぼ不可能ではないかと考えている。2020年度は予定を変更し,既収集データの分析および被災地支援につながる効果的な方言調査法の理論的検討に力点をおいて研究を進める。 2020年度に予定していた調査については,研究期間の延長も視野に入れながら計画を再構築して,事態収束後にあらためて実施する。
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Causes of Carryover |
2019年度は研究費の一部を校費で賄うことができ,さらに大学の公用車を利用するなどして旅費を節約することができたため,剰余金が生じた。 既述のとおり,2020年度の調査実施は困難と見込まれるため,2019年度の残額は,研究代表者および各分担者の手元で,データの整理(学生謝金を含む),分析作業,研究成果報告のための費用として費消する。
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Research Products
(8 results)