2021 Fiscal Year Research-status Report
日本語における古代語から近代語へのテンス・アスペクト体系の変化に関する研究
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19K00631
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
福嶋 健伸 実践女子大学, 文学部, 教授 (20372930)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 丁寧語 / テンス・アスペクト / モダリティ・ムード / 近代語 / 古代語 / 言語類型の変化 / 古典文法教育 / 敬語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、「日本語における古代語から近代語へのテンス・アスペクト体系の変化に関する研究」であり、前研究課題の「近代日本語のテンス・アスペクト・モダリティ体系の変遷に関する統語論的研究」を発展的に引き継ぐものである。本年度の主要な研究実績を以下に述べる。
主要業績 2021年6月に和泉書院より刊行された『日本語の歴史的対照文法』に、「現代日本語の「です・ます」と中世前期日本語の「候ふ」の異なり―「丁寧語不使用」の観点から―」という論文が掲載された。加えて、2022年3月には、『実践国文学』(101号)に、「古典文法書間で「む」「むず」の記載内容はこんなにも違う・その2―「む」と「むず」の違いを大学等の入試問題で問うことは妥当か ―」という論文が掲載された。 前者は、これまで、ともに丁寧語とされてきた語の異なりを指摘するものであり、その背景に、古代語から近代語へ統語的構造の変化があることを指摘するものである。その統語的構造の変化は、既に、報告者(福嶋)の研究で指摘したように、テンス・アスペクト体系の変化に関与するものである。後者は、本研究成果の国語教育への応用となるもので、高等学校等で使用されているる、古典文法書において、「む」「むず」に関する記載内容が異なる事を指摘し、その背景に、古代語から近代語へのテンス・アスペクト・モダリティ体系の変化が関与していることを指摘するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料の調査方法を工夫する等のことで、COVID-19の影響を受けながらも、何とか、順調に研究を進めることができたと思われる。ただし、COVID-19の影響下では、どうしても、調査の方法が限定されてしまい、さらなる工夫と割り切りが必要である。 一方、「日本語歴史コーパス」は、より充実してきており、この点は、福音といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまで以上に、オンラインで利用できる資料に切り替えていく必要がある。 いずれにせよ、COVID-19の影響次第というところで、判断が難しい部分もある。データを観察すると、テンス・アスペクト以外の文法領域を踏まえつつ、テンス・アスペクトの変化を見ていくべきか、と思われる点もあるので、今後、注視したいと思う。
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