2022 Fiscal Year Research-status Report
日本語における古代語から近代語へのテンス・アスペクト体系の変化に関する研究
Project/Area Number |
19K00631
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
福嶋 健伸 実践女子大学, 文学部, 教授 (20372930)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | テンス・アスペクト / モダリティ・ムード / 丁寧語・敬語 / 近代語と古代語 / 古典文法教育 / 統語・syntax / 言語類型の変化 / ~テイル・~タ・動詞基本形・~ム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、「日本語における古代語から近代語へのテンス・アスペクト体系の変化に関する研究」であり、前研究課題の「近代日本語のテンス・アスペクト・モダリティ体系の変遷に関する統語論的研究」を発展的に引き継ぐものである。本年度の主要な研究実績を以下に述べる。 2022年4月に発行された全国大学国語国文学会の学会誌、『文学・語学』の234号に、「中世前期日本語の「候ふ」と現代日本語の「です・ます」の統語的分布の異なりに関する調査報告―文中には丁寧語があるが文末にはない場合―」という研究ノートを掲載した。当該学会誌編集委員会の審査をパスしたものである。さらに、2022 年10 月発行の『実践国文学』102 号に、「モダリティの定義に2つの立場があることの背景―「意志・推量」「丁寧さ」「疑問」「禁止」の各形式の分布が文末に偏ってくるという変化に注目して日本語学史と日本語史の接点を探る―」という論文を掲載した。これらの研究は、古代語から近代語へのテンス・アスペクト体系の変化が、丁寧語やモダリティの変化と関連することを、議論したものである。なお、前者は、従来の研究では指摘されてこなかった、丁寧語「候ふ」と「です・ます」の異なりを、具体的な数値をもとに指摘している。また、「国際シンポジウム 「東西文化の融合」」(大東文化大学外国語学研究科 日本言語文化学専攻主催、2022年10月15日(土) 9:20-17:30 オンライン開催)で、「日本語アスペクトの体系の変遷が分かると 高校で習った古典文法がダメな理由がよく分かる」というタイトルで、招待発表を行った。本研究課題が教育に活きることを国際シンポジムで述べたことになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究成果の発表自体は順調に進んでいる。しかし、学科主任をしなければならず、この職があまりに多忙であったため、調査の進捗がやや遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果がまとまってきたので、研究書にまとめる必要があると思われる。よって、今後は、研究書執筆ということを意識して、研究を進めたい。なお、コーパスだけではなく、影印等の資料を確認しながら研究を進めているが、この点にもう少し、時間をかける必要があるかもしれない。また、本研究課題は、国語教育に関する課題にも直結するようである。
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Causes of Carryover |
まず、次年度使用が生じた理由をのべる。「現在までの進捗状況」でも述べた通り、学科主任をしなければならず、この職があまりに多忙であったため、進捗がやや遅れてしまった。その遅れが、11755円という金額に反映されている。進捗が遅れた分を、次年度でとりもどすために、次年度使用する必要があった。 次に使用計画について述べる。「今後の研究の推進方策」でも述べた通り、研究書執筆を意識して研究を進めたい。よって、研究書執筆に必要な、研究書の購入等に使用していく予定である。
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