2023 Fiscal Year Research-status Report
日本語における古代語から近代語へのテンス・アスペクト体系の変化に関する研究
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19K00631
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
福嶋 健伸 実践女子大学, 文学部, 教授 (20372930)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | テンス・アスペクト / モダリティ・ムード / 丁寧語・敬語 / 近代語と古代語 / 古典文法教育 / 統語・syntax / 言語類型の変化 / ~テイル・~タ・動詞基本形・~ム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度と次年度においては、これまでの研究業績をまとめ、出版することを予定している。このため、本年度は、出版助成金の獲得を目指して、これまでの業績をまとめ、大幅な加筆修正を行った。さらに、本研究課題である「日本語における古代語から近代語へのテンス・アスペクト体系の変化」に、直接回答できる章を執筆し、その一部を、第20回現代日本語文法研究会(2024 年3 月27 日(水曜日)、ZOOM開催)において、「日本語のテンス・アスペクト・モダリティ体系の変遷」というタイトルで発表した(本研究の意義が認められ、無事、出版助成金を獲得することができた。正確には、出版助成の採用通知は、2024年度4月の通知であるが、あわせてご報告する次第である)。 研究内容の結論となる部分を、分かりやすく端的にまとめると、次のようになる。 ①~テイルが状態化形式として発達し、「~テイルの有無によって、<状態(継続的)>と<非状態(完成的)>の対立が表現される」というシステムが確立する。【アスペクト体系の成立】 ②上記の①により、~テイルが<現在>の領域をカバーするようになり、~タが<過去>を表す形式となる。「~タの有無によって、<過去>と<非過去>の対立が表現される」というシステムが確立する。【テンス体系の成立】 ③上記の①により、~テイルが<現在>の領域をカバーするようになり、動詞基本形が<非状態>の意味を担い、<未来>の領域(<非現実>の領域)に分布するようになる。無標の形式である動詞基本形が、<非現実>の領域を表すようになり、「~ウ・~ウズ(ル)の有無によって、<非現実>と<現実>の対立が表現される」というシステムが崩壊する。崩壊したシステムにかわって、~ダロウ等の特定の意味を表すモダリティ形式が台頭してくる。【古代日本語からのムード体系の崩壊と、新しいモダリティ体系の成立】
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は、テンス・アスペクト体系の変化を解明するためにスタートした研究であったが、テンス・アスペクトに加え、モダリティも含んで、その体系的変化を記述することができた。この意味で、当初の計画以上に進展していると判断でき、前年度の遅れを十分に取り戻せたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度中の出版を目指したい。また、出版に際しては、できる限り、専門家以外の方が読んでも、分かるように表現を工夫したいと思う。 古代日本語から現代日本語までのテンス・アスペクト・モダリティ体系の変遷を記述することは、他の分野にも少なからぬ影響があるものと思われる。例えば、既に、論文化しているが、国語教育(古典文法教育)にも、関与するものといえる。また、アスペクト研究における、形式と意味の記述方法を問いなすことにもなるだろう。この辺りの、いわば、「研究の応用」といえる部分も、きちんと整理して示したいと考えている。
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Causes of Carryover |
当該助成金が生じた状況:科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)補助事業期間延長承認申請書(様式 F-14)にて、既にお伝えした通り、「②補助事業の目的をより精緻に達成するための研究の実施(追加(再現)実験の実施や学会参加、論文投稿など)」が理由である。
使用計画:「物品費」「旅費」「その他」を予定している。ただし、旅費に関しては、感染症の状況等により、変更する可能性がある。
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Remarks |
第20回現代日本語文法研究会(2024 年3 月27 日(水曜日)、ZOOM開催)において、「日本語のテンス・アスペクト・モダリティ体系の変遷」というタイトルで発表した。研究代表者の単独発表である。
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