2021 Fiscal Year Research-status Report
A quantitative study of functional load in Japanese phonology
Project/Area Number |
19K00644
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
竹村 亜紀子 神戸大学, 人文学研究科, 人文学研究科研究員 (50597309)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 機能負担量 / 情報量 / 音韻 / アクセント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は情報理論を用いて、日本語の語彙を区別するための音韻(母音の長短、促音の有無、アクセント等)の中で何が重要であるかを明らかにすることを目的とする。 2021年度は特にコーパスでの語彙情報および情報理論を用いて、標準日本語のアクセント型の数を予測した。標準日本語には「Nモーラ数+1」の数のアクセント型(例:3モーラならば4つのアクセント型)が存在する。しかし、実際にはそれぞれのアクセント型(例:頭高型、中高型、尾高型、平板型)の出現分布には偏りがあることも事実である。本研究では実在する語彙のアクセントのデータの偏りを用いて、標準日本語のアクセント型の数を予測した。その結果、標準日本語はコーパスの語彙データから2つのアクセント型(平板型とー3型(=語末から3モーラ目にアクセントがくる型))に集約されることが明らかになった。これはKubozono (2008) が主張する内容を支持するものである。 また、語種によってアクセント型の数が異なることも大きな発見であった。具体的には、漢語・外来語はアクセント型の数が2つであるのに対し、和語のアクセント型の数は2よりも大きい(具体的には2.8)、つまりアクセント型が2つ以上(3つに近い)のアクセント型があることが明らかになった。これは、漢語・外来語はデフォルトのアクセント型と呼ばれる-3型が規則的に適用されていくのに対し、和語は歴史の産物でアクセントの型の数が2以上になるものと考えられる。 本研究の成果は日本言語学会の第163回大会(2021年11月20日オンライン)で「共通日本語アクセントは二型アクセントか:情報理論からの観点」という標題で学会発表を行なった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は当初の予定よりもやや遅れているものの、標準日本語のアクセントの型の数について予測可能性を行なった。遅れている理由の一つは標準日本語のデータを整えることに時間がかかりすぎてしまったことが挙げられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度はアクセント以外の他の音韻(例:母音の長短、促音の有無)の重要度を測りたいと考えている。また近畿方言のデータを速やかに整理して近畿方言での音韻の重要度、および標準日本語との比較を行いたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
2021年度も新型コロナの影響があり多くの学会が中止、あるいはオンライン開催となった。そのため旅費として利用申請していたものが旅費として支出できなかったことが次年度使用額が生じた理由である。また、本研究が当初の予定よりもやや遅れていることも次年度使用額が生じた一つの理由である。 2022年度は研究の遅れを取り戻すこと、そしてその研究によって明らかになった点を今後対面で開催されるでろう学会で発表していく予定である。
|
Research Products
(5 results)