2021 Fiscal Year Research-status Report
不定詞節の発達とその生起環境の関係に関する通時的研究
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19K00670
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
中川 直志 中京大学, 国際学部, 教授 (70321015)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | tough構文 / 生成文法 / 英語史 / 統語論 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成3年度においては、tough構文の歴史的発達を中心に先行研究の分析を行った。千葉(2019)は、tough構文の歴史における受動不定詞や「主語読みのtough構文(不定詞の主語位置の空所が主節主語に対応するタイプのtough構文)」の出現、衰退について詳細な分析を行っている。 Tough構文の不定詞節に主語位置を認めるか認めないかは、理論的分析に大きく影響する。主語読みを認めれば、それは主語位置の存在を認めることになるので、Aバー移動(空演算子移動)による派生を支持することになり、認めなければA移動(tough移動)による派生を支持ことになる。また、歴史的分析にとっても、主語読みがなぜ可能であったのかを明らかにすることは、引用されることも多いFischer (2000)らの分析の妥当性を検証する上で避けて通れない。 これについて千葉(2019)は、「少なくとも初期中英語期までは、不定詞主語の位置からの要素の取り出しによるtough構文は、受け身文としての解釈を持つような文の場合に限られていた(p.99)」と主張し、純粋な意味での「主語読み」の生産性について否定的見解を示している。この分析は受動不定詞の出現に対するFischer et al. (2001)らの分析にも疑問を呈することになる可能性がある。Fischer et al.(2000)は、tough構文における受動不定詞の出現について、(不定詞節の目的語位置に主節主語が対応する)本来のtough構文と‘eager-to-please’構文との区別が曖昧になったためであると主張するが、主語読みのtough構文の生産性がそもそも少なかったのであれば、曖昧性が生じる可能性も小さかったのではないかと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度は前年度に引き続き、新型コロナ対策等による業務量が飛躍的に増大し、研究に十分な時間を充当させることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従って、遅れを取り戻すべく手を尽くしたい。その一方で、調査対象や調査手法の絞り込みなど、より効率的に目標を達成する方策についても 考える必要があると考える。
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Causes of Carryover |
1年目に計画していた海外出張がコロナ禍の影響で現在まで実施できずにいる他、学会等がオンラインで開催されることになったこと等が主な理由である。研究の遅れを取り戻しなが ら適切に使用したい
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