2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K00672
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
佐藤 詩恵 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (50523164)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 法助動詞 / コーパス |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度にあたる2019年度は、法助動詞および関連するモダリティー全般について文献収集を重点的に行った。また、MICASE (Michigan Corpus of Academic Spoken English)のデータ分析に先立ち、日本人英語学習者を含むアジア圏英語学習者の法助動詞の使用実態を探るべく、ICNALE(The International Corpus Network of Asian Learners of English)のWritten Essaysをデータとして法助動詞can, could, may, might, will, wouldについて分析を行った。ICNALEは英語母語話者のエッセイも含むため、今後MICASEの話し言葉データとの比較を行う上でも有益なデータ結果を得ることができた。ICNALEコーパスデータ分析の結果、日本人英語学習者の法助動詞の使用頻度について、英語母語話者および他のアジア圏英語学習者(中国・タイ)とは異なる特徴が見られた。具体的には、日本人英語学習者によるwillと wouldの使用頻度は他のアジア圏英語学習者と比較して最も少なく、特にwouldについてはその使用率の低さとコロケーションが英語母語話者との違いを決定づける要素であることが明らかとなった。アジア圏英語学習者に共通する特徴としては、wouldの使用頻度の低さとともにcanの過剰使用が顕著であり、コロケーションについてもそれぞれ異なる特徴が見られた。これらの結果を踏まえ、MICASEデータのcanとwouldについては分析をより細かく、重点的に行う必要がある点が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
法助動詞とモダリティー研究の文献収集については、多くの関連分野が存在し、先行研究の数が膨大であることから多くの時間を要している。また、年度末に関しては当初の予定を大幅に見直すこととなった。しかし、申請時に予定にはなかったICNALEをベースとした研究を追加で行うことにより、アジア圏英語学習者の法助動詞使用について具体的な問題点が明らかとなり、今後母語話者データであるMICASEを分析するにあたって、canの過剰使用と並んでwouldに焦点を当てる必要性が明らかになるなど有益な情報を得ている。このアジア圏英語学習者についての研究結果は、発表可能な段階まで取りまとめを終えている(ICNALEデータに基づく研究結果は、2020年2月に発表予定であったが、一旦6月に延期後、中止が決定した)。
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Strategy for Future Research Activity |
MICASE内の試験的分析を終え、mayとmightの分析に移行する。最新の研究についても調査し、文献収集を継続する。ICNALEデータに基づく法助動詞の研究については、結果を論文にまとめ、9月までの投稿を目指したい。
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Causes of Carryover |
年度末に予定していた国外出張が新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、取りやめとなった。そのため,旅費および人件費・謝金は0となった。引き続き状況が改善しない場合は、国内で複数の協力者を確保することとし、人件費・謝金を次年度分と併せて使用する。さらに図書購入、論文執筆後の校閲についても経費を要し、年度末には学会発表に伴う旅費の使用を予定している。
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