2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K00672
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
佐藤 詩恵 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (50523164)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 法助動詞 / 助動詞 / モダリティー |
Outline of Annual Research Achievements |
研究開始2年目となる2020年度の研究実績は主に以下の3点である。 第一に、当初の計画通りMICASE (Michigan Corpus of Academic Spoken English)のデータ分析を本格的に開始し、MICASE内の法助動詞mayとmightの分析を行った。途中、分析項目について新たな項目を追加したため、計画より3か月ほど遅れての終了となった。第二に、2019年度にMICASEデータ分析に先立って行ったパイロット研究の分析結果をまとめ、論文執筆を行った。この研究は、ICNALE(The International Corpus Network of Asian Learners of English)のWritten Essaysをデータとしてアジア圏英語学習者の法助動詞の使用実態を明らかにしたものである。MICASEを分析対象とした本研究と同じく法助動詞can, could, may, might, will, wouldに焦点をあて、質的・量的分析をもとに英語母語話者とアジア圏学習者との比較を行った。今後MICASEデータの分析が進むにつれ、話し言葉と書き言葉における使用傾向の類似点・相違点が明らかになることが期待される。第三に、初年度に引き続き、法助動詞やモダリティー関連の文献収集と先行研究の整理を行った。初年度との違いとしては、法助動詞の歴史的側面や文法化現象、語用論的側面にまで対象を広げたことである。初年度に収集した多数のモダリティー関連書籍と併せて情報を整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」に述べた通り、データ分析は計画通り進んでいるが、結果の確認作業の目途が立っていない。研究申請時の計画では、研究テーマに精通する米国在住の研究者と作業を行う予定であったが、コロナ禍において渡米が難しくなり、当初の計画を断念せざるを得なくなった。2019年度後半より、2020年度についても人員を増加して確認作業にあたるなど代替案を遂行できるよう努めたが高い専門性を要する分析作業に適する人材を見つけることは容易ではないのが現状である。また、文献収集と先行研究の整理作業にもその数の膨大さから遅れが出始めている。しかし、当初予定にはなかったICNALEデータを使用したパイロット研究を論文として仕上げることができたことは進歩であると評価している。この論文は2020年9月までの投稿を目標としていたが、2021年2月開催の国際会議での発表・渡航準備のため遅れが生じた(採択が決定し予定していた発表については、急遽オンラインでの開催となり、オンライン上での情報公開にあたり様々な規定・制約が生じたため、断念せざるを得なくなった)。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通りMICASE内のwillとwouldの分析を行う。最新の先行研究についても調査し、文献収集を継続する。法助動詞willとwouldについてはICNALEコーパスデータ分析の結果、日本人英語学習者の使用頻度が英語母語話者および他のアジア圏英語学習者(中国・タイ)と比較して最も少ない点が明らかとなり、wouldに関しては使用頻度の低さが極めて顕著である。この点を踏まえて、MICASEデータ分析の際は、wouldの使用についてより丁寧な分析が必要であると考えている。 ICNALEデータを基にした研究については発表、またそのフィードバックを受けての論文投稿を予定している。 MICASE分析結果の確認作業については協力者複数名を探し、早急に作業を開始したい。
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Causes of Carryover |
2019年度末に予定していた国外出張が新型コロナウイルス感染症拡大に伴い取りやめとなり、その後も国内での協力者を得ることが困難である状態が続いているため、2020年度も旅費および人件費・謝金は0となった。次年度は当初の計画通り国外出張が可能となることを望みつつ、引き続き国内で複数の協力者を確保することとしたい。分析結果確認作業の遅れに伴い、発表や論文投稿にも遅れが生じており、予定していた校閲経費も計上できないままとなっている。次年度は図書購入、論文執筆後の校閲について経費を要し、年度末までには学会発表に伴う旅費の使用を予定している。
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