2021 Fiscal Year Research-status Report
「動詞+前置詞」から成る句動詞の成立過程に関する基礎的研究及び新分類法の提示
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19K00678
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyota College |
Principal Investigator |
神谷 昌明 豊田工業高等専門学校, 一般学科, 教授 (40194980)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 句動詞 / 前置詞 / フランス語源動詞 / 音節 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)OEDに現れる「フランス語源動詞+前置詞」から成る句動詞の初出例: 令和2年度では「フランス語源1音節動詞+前置詞」から成る句動詞の初出例(107例)を表にまとめた.令和3年度では「フランス語源2音節動詞+前置詞」及び「フランス語源3,4音節動詞+前置詞」から成る句動詞の初出例を年度順(50年区切り)にまとめた.近代英語(1500年~)以降に「フランス語源動詞+前置詞」から成る句動詞が量産化されたことが判明した.但し,「フランス語源3,4音節動詞+前置詞」から成る句動詞は用例数は少ないが1850年以降に量産化された.
(2)formalになる「フランス語源動詞+前置詞」から成る句動詞(244語): 句動詞は一般的に(圧倒的に)口語的表現として日常会話で多用される.「フランス語源動詞+前置詞」でformalに使われる句動詞は以下の通りである.「フランス語源1音節動詞+前置詞」から成る句動詞では7%がformalな用法になり,2音節動詞,3音節動詞になるとその割合は31 %, 38%と高くなる.「フランス語源4音節動詞+前置詞」から成る句動詞の用例は5例でありその中でformalは1語のみであった.フランス語源多音節動詞はゲルマン語源一語動詞,軽動詞(light verb)とは異なり動詞自体に比較的詳しい意味(原義)・formalな意味が内包されているので,前置詞と結合しても,「ゲルマン語源動詞+前置詞」から成る句動詞に比べて口語的表現になり難い.また前置詞が語義通りの意味を保持しているので「フランス語源多音節動詞+前置詞」で高度なイディオムに発達することは少ないと言える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により,ロンドン大学(UCL; main library)への出張ができず,文献調査・句動詞の各種用例の照合作業ができなかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
今までの研究成果を踏まえ,研究書誌(参考文献)を作成する.ロンドン大学で文献調査・照合作業を行う.句動詞 (phrasal verb) はゲルマン語(英語,ドイツ語等)に見られるイディオム化された言語表現である.句動詞研究または句動詞に関連する研究(分離動詞・結果構文など)は国内外問わず,近年精力的に行われている.特に共時的な研究が圧倒的に多いが,通時的研究にも焦点を合わせるべきである.句動詞の通時的研究(起源・発達)の成果・知見はインターフェイスとして共時的研究(英語教育・言語習得など)に応用することができる.主に英語の句動詞関連研究に関する文献(著書・論文・辞典・問題集)を和文・欧文に分類し,さらに共時的研究・通時的研究に分類し明示する.最大級の句動詞関連研究書誌及び参考文献を作成し今後の句動詞関連研究の文献資料とする.4年間の研究統括を行い研究成果報告書を作成する予定である.さらに句動詞研究の総括・英語教育への応用(簡易版)を作成する予定である.
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Causes of Carryover |
コロナ禍により,ロンドン大学(UCL; main library)への出張ができず,文献調査・句動詞の各種用例の照合作業ができなかったため.さらに英語コーパス学会などがオンラインで実施されたため,出張費が大幅に余り次年度使用が生じた.次年度はコロナ禍が収まればロンドン大学(UCL:main library)で文献調査・各種句動詞の照合作業を行う予定である.
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