2020 Fiscal Year Research-status Report
名詞から動詞をつくるー事象統合による語彙創造のしくみ
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19K00679
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小野 尚之 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (50214185)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 語彙意味論 / 事象 / 名詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、新型コロナウィルスの感染拡大の影響により、研究発表や講演を予定していた国際学会や国際学術会議が相次いで中止または延期され、研究成果の発表や発信が思うように行えず、計画の一部見直しや停滞を余儀なくされた。しかし、そのような状況においても、着実に研究が進展した部分はあり、その成果を「軽動詞構文における強制と共合成-「する」と「ある」をめぐって」という論文と、「起点としての「に」の意味」という2編の論文で出版した。前者は、日本語の名詞を軽動詞と組み合わせた合成述語の分析であり、「忘れ物」や「飲み物」のような、一見、事象を表すようには見えない個体名詞が、動名刺のようなふるまいをする理由を、「強制」と「共合成」という生成語彙論の概念を用いて説明したものである。この研究は、本プロジェクト開始当初から掲げた目標の1つに近づく成果であった。後者は、日本語の「に」格の意味が、「極」という概念で説明できることを、数多くの用例に加え、歴史的な変化をも視野に入れて説明したものである。先行研究において見過ごされてきたと思われる助詞「に」の意味を、動詞の表す事象への統合という観点から論じた。令和2年度は、これらの論文に加え、ペルギーで開催予定だった国際学術会議でEvent/Thing Homomorphism of V-N Compounds in Japaneseと題する論文を発表するはずであった(採択済)。しかし、前述のように、新型コロナウィルスの影響により会議が延期になったため、令和3年度に持ち越すことになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要にも述べたように、新型コロナウィルスの感染拡大により、予定してた国際学術会議が延期または中止になったので、令和2年度の研究計画は予定通り進んだとは言い難い。しかし、そのような中でも2編の論文を刊行するなど、着実に進展はしている。
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Strategy for Future Research Activity |
このような状況においても当初の計画を進める努力は続けるが、世界的に見てパンデミックの終息が確認されるまでは、研究活動に大きな制約を受けることは避けられないであろう。しかし、昨年後半から増えてきたようなオンラインによる国際会議や研究会が増えてくれば、計画したような成果の発信は可能になると思われる。国内においても研究活動にオンライン会議は欠かせないものになりつつある。今年度はそのような変化も期待しつつ、研究を推進する所存である。
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Causes of Carryover |
令和2年度に開催予定だった国際会議が令和3年度に延期になったので、その参加費(対面開催される場合は出張費)として使用する。
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