• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2020 Fiscal Year Research-status Report

英語の関係詞節の発話解釈に関する意味的・語用論的原理の記述的研究

Research Project

Project/Area Number 19K00687
Research InstitutionFukushima Medical University

Principal Investigator

中山 仁  福島県立医科大学, 看護学部, 教授 (70259810)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
Keywords関係詞 / 発話解釈 / 語用論
Outline of Annual Research Achievements

本研究は関係詞節を含む英語表現について、広範な事例分析を通して「文の意味」と「発話の意味」の関係を検討し、発話解釈における主節と関係詞節の相互作用を意味的・語用論的に明らかにするものである。特に、従来意味論的視点から分析されてきた関係詞節の特徴の一部を、人間の認知に基づく語用論の視点から捉え直し、話し手の意図を考慮に入れた説明を可能にするための検討を行う。
令和2年度は、前年度から引き続き関係詞節を含む文の発話における主節と関係詞節の発話意図の研究を中心に、より広範な先行研究の検討、データの収集と分析を行い、結果を学会発表および学会季刊誌を通して公表した。
具体的には、独立して生じる非制限的関係詞節(Which節)が話し言葉などのくだけた文脈で使用される傾向について、①英語の話し言葉の一般的特徴、②Which節の統語的・意味的・語用論的特徴、③関係詞whichと類義の代名詞it, thatとの比較に基づく機能上の特徴の3点から実例を追加・分析して考察を行った。
今年度特に進展した部分は、②の語用論的特徴と、③の代名詞it, thatとの比較に基づく機能上の特徴についてである。語用論的観点からは、Which節が先行発話をきっかけとして話題の方向性を変えるために用いられる傾向があることを見た。中でも、この傾向と関係詞Whichの指示のあいまいさとの間に話し手の意図が関与していることが確認できた。
代名詞の機能の観点からは、Which節の関係詞Whichが代名詞It/Thatと同様の指示機能を持つことから、it/thatの情報構造上の特性を手がかりに、Whichの指示の特性を探った。その結果、Whichは、(i)「既獲得情報[相手の発話に先立って話し手が持っている情報]としては処理されていない」、(ii)指示が明確である場合と漠然としている場合がある、という特性を持つことが分かった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

令和元年度研究実施計画によれば、本年度の目標は、前年度までの作業を進める一方で、これまでの研究成果を国内外での研究発表、および、学会誌への投稿等により、研究成果を発信することである。Which節に関する先行研究は比較的少ないものの、所属学会誌および会員の著書・論文で近年活発に議論されているため、これらを通して有益な資料を入手する機会が得られた。不足する資料についてはコーパスを活用してデータ収集・分析を行なった。
その結果、話し言葉の特徴とWhich節自体の特徴とを関連づけることによって、Which節の生起の背景をより具体的に説明することができた。研究成果は日本英語表現学会への口頭発表および学会季刊誌を通して公表した。また、発表後、内容にさらに検討を加えた結果を論文にまとめ、学会誌に投稿した。論文は採用され、令和3年度に掲載される予定である。
以上より、現在までのところ、おおむね計画通りの進捗状況にあるといえる。

Strategy for Future Research Activity

今後は主に以下の3点を目標に研究を推進する。
①「主節+関係詞節」の発話意図を読み解くために、先行詞の指示的意味、主節と関係詞節が表す命題間の意味関係、話し手の持つ前提や聞き手との共有知識を含めたコンテクストとの相互作用、および、それらから導出される推論のプロセスを解明する。
②関連性理論を含めた語用論的観点に基づいて「文の意味」と「発話の意味」を峻別し、関係詞節の発話の関連性を明らかにすると同時に、関係詞の持つ概念的意味(真理条件に関与する意味)と手続き的意味(推論への制約を課す情報)の検討を行う。
③その他の関係詞節への応用として、定義文に用いられるwhen節 (e.g. Frustration is when you can’t find the car keys.) の解釈プロセスについて検討する。

Causes of Carryover

(次年度使用額が生じた理由)購入予定物品の購入額、海外雑誌購読料、海外図書の為替レートが当初の予定額と異なっていたこと、また、購入予定の海外図書の入手が年度内にできなかったことにより、未使用額が生じた。

(次年度使用計画)関係詞節を制限節と非制限節に分類する統語・意味論的説明のあいまいさ・矛盾点を明らかにすること、および、主節と関係詞節の持つ発話意図や伝達効果の関係を分析すること、主節と関係詞節の発話の相互作用に関する包括的な説明等に関する研究と発表の経費として、未使用分を含めて使用したい。具体的には、物品・図書・雑誌購入、データベース契約、データ通信、旅費などに加えて、必要に応じてオンラインでの学会・会議等に必要な機器の購入に充てる。

  • Research Products

    (1 results)

All 2020

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 話し言葉に特徴的な非制限的Which節の生起要因2020

    • Author(s)
      中山仁
    • Organizer
      日本英語表現学会第49回全国大会

URL: 

Published: 2021-12-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi