2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K00689
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
大澤 舞 獨協大学, 外国語学部, 准教授 (70610830)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 直接引用 / 複合語 / 周辺的現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終的な目標は、中核的現象を基本としたときに、周辺的現象がどのように生じるのかを文法と文脈の関係から明らかにすることである。この最終目標に至るために、2020年度は、直接引用形式と一般名詞との比較を行い、複合語の前項に直接引用形式を用いる動機を明らかにすることを目的としていた。この目的を達成するために、2020年度は、英語のdirect speech compounds (Honey, I'm home happiness.)と日本語の直接引用複合語(なんだ、良いやつじゃないか!案件)と、同じような意味を表すと考えられる「NP, like X」や「XみたいなNP」、「X的なNP」といった表現とを比較し分析し、名詞は細部が捨象され抽象化されているが故に、話者の表したい事実を詳細に表すことができないが、同時に、聞き手が情報を読み込み過ぎる余地をもつ。直接引用は、事実をそのまま表すために文字数は多くなるが、見たままを述べるということから、上位概念を表し抽象化する名詞に言い換える必要がないという点で「エコ」な表現であるといえる。ここに「名詞名詞複合語」ではなく「直接引用複合語」を用いる動機があるのではないかという仮説を検証するための下準備を行った。 例えば「なんだ、良いやつじゃないか!というような案件」のようにdirect speech compoundsと直接引用複合語を言い換えることで、どのような差が生じるのか(生じないのか)を調べることで、先行研究では十分明らかになっていないdirect speech compoundsと直接引用複合語の特徴を明らかにすることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍によるオンライン授業のための準備と実施に時間が多く割かれてしまい、研究に費やす時間がかなり限られてしまったことで、データ収集と分析のための下準備までしかできず、成果を発表することができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の当初予定は、2019年度と2020年度までの成果と、研究代表者がこれまでに明らかにしてきた「重複可能表現(跳べることができる)」や「cause使役受身(*Priced were caused to rise.)」を「周辺的現象」として統一的に扱うことである。しかし、2021年度前半は産後休暇を取得するため研究をすすめることができない。よって研究を再開する2021年度後半は、前年度までの成果をまとめることを中心に行う。
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Causes of Carryover |
2020年度に海外の学会で口頭発表する予定でいたが、コロナ禍で海外渡航ができなくなり、海外出張用の旅費の支出がなかった。2021年度に海外での口頭発表が可能であれば、そのための旅費を確保するために繰り越すこととしたためである。
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