2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K00689
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
大澤 舞 獨協大学, 外国語学部, 准教授 (70610830)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 直接引用複合語 / direct speech compounds / 周辺的現象 / 中核的現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、英語のdirect speech compounds(例: Honey, I’m home happiness.)に対応する日本語の直接引用複合語(例:なんだ、いいやつじゃないか!案件)の現状を把握することと同時に、当初の研究計画には含まれていないが、英語のjust because主語構文と対応する日本語表現を比較することで、主題に関する日英語の違いを明らかにするということを主に行った。本研究開始当初は、直接引用複合語はdirect speech compoundsほどの生産性はみられないという観察をしており、それ故に、当該現象の日英語比較をすることで、日英語における相違点や共通点を探れるものと予想していた。しかし、育児休業の取得により研究を中断している間に、直接引用複合語の振る舞いに変化が見られるようになり、現在では英語のdirect speech compoundsとほぼ遜色ないほどに自由に表現が作られ、使われるようになったという変化が認められる。 研究期間の初期には、インターネットなどからデータを収集しながら、先行研究の問題点を指摘し、さらに、direct speech compoundsと直接引用複合語の共通点と相違点を整理・分類した。中盤では、direct speech compoundsと直接引用複合語と、同じような意味を表すと考えられるNP, like XやXみたいなNP、X的なNPといった表現とを比較した。名詞は細部が捨象され抽象化されているため、話者の表したい事実を詳細に表すことができないが、同時に、聞き手が情報を読み込み過ぎる余地をもつ。直接引用は、事実をそのまま表すために文字数は多くなるが、見たままを述べるということから、上位概念を表し抽象化する名詞に言い換える必要がないという点でエコな表現であるといえる。ここに名NN複合語ではなく直接引用複合語を用いる動機があるのではないかという仮説を提示した。
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