2019 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical and Demonstrative Research on MERGE and Determinacy in Generative Grammar
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19K00692
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
後藤 亘 東洋大学, 経営学部, 准教授 (50638202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 透 明治大学, 文学部, 専任教授 (30193254)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大文字併合 / 決定性原理 / 位相不可侵条件 / 移動現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「決定性原理(Principle of Determinacy)は大文字併合(MERGE)の入力(Input)に適用される」という仮説を立て、あらゆる移動現象(Movement Phenoemna)を検証することによって、言語機能の中心的メカニズムである大文字併合と決定性原理についての理解に貢献すると共に、人間の認知システムの解明を目指す生成文法の進展に寄与することを目的としている。 研究初年度(令和元年度)は、移動現象の主語と目的語の非対称性(Subject/Object assymetry)を検証することを目的とした。決定性原理と第3要因の位相不可侵条件(Phase Impenetrability Condition)の観点から、主語条件(Subject Condition)、動詞-小辞構文(verb particle construction)、特定性効果(Specificity Effect)、非空話題化(no vacuous topicalization)、非補文主語関係節の不在(non-existence of complementizer-less subject relative)、that痕跡効果(the that-trace effects)、セキップ戦略(skipping strategy)、副詞効果(adverb effect)、話題化の凍結効果(freezing effect with topic)、さらなる繰り上げ(further raising)、移動より併合(Merge-over-Move)、省略と代名詞による島違反の修復(island violation repairs by ellipsis and pronoun)、非余剰的派生(no superfluous steps in a derivation)、連続循環A移動(successive cyclicity in A-movement), 反局所性(anti-locality)に対して統一的な分析を行った。 本研究の成果は、イギリス(CamCos)、スペイン(CGG)、韓国(GLOW in Asia/SICOGG)、アメリカ(NELS)の国際学会で発表し(括弧内は学会名)、GLOW in Asia/SICOGGのProceedingsとNELSのProceedingsとして2本の論文にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では「決定性原理は大文字併合の入力に適用される」という仮説を立てているが、なぜ「出力」ではないのかという問いに対して研究開始当初は明確な答えはなかったが、研究を進めて行く中で、「余剰性の排除」と「先読み問題の排除」という観点から、提案仮説の妥当性を裏付けられる見通しが出てきたため、本研究は当初の計画以上の進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り、研究次年度(令和2年度)は、「決定性原理は大文字併合の入力に適用される」という仮説のもと、移動現象の主節と埋込節の非対称性を検証する。特に、「決定性原理は大文字併合のさらなる入力が存在する埋込節の「周辺部」(edge)では適用されるが、派生が「終結する」(terminate)する主節の周辺部では適用されない可能性がある」という観点から、項の前置、VP前置、場所格倒置等、主節のみで許される現象(Emonds 1970; Hooper & Thompson 1973; Heycock 2006; Aelbrecht, Haegeman & Nye 2012; Haegeman 2012)等を分析する。 また、決定性原理の提唱者であるNoam Chomskyが、2019年にMITとUCLAで行われた連続講義で、決定性原理の上位概念は「資源制約」(Resource Restriction)であるということを示唆しているため、本研究では、その最新の概念も射程に入れながら研究を進めて行く予定である。
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Causes of Carryover |
本研究は当初の計画よりもかなり進展し、その成果を発表するために、4つの国際学会に応募し採択された。そのことにより、令和元年度中に予定していた旅費の経費だけでは足りなくなり、2019年の秋に前倒し支払い請求をした。次年度使用額が生じた理由はそれによるものである。翌年度分として請求した助成金と合わせ、今年度も当初の計画通り、旅費、研究書籍等に使用する予定である。
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Research Products
(9 results)