2019 Fiscal Year Research-status Report
The development and evaluation of Japanese Language Support System for the students of science universities
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19K00704
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
本郷 智子 東京農工大学, グローバル教育院, 教授 (60401452)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マルチモーダル / コミュニケーション支援 / 理系コミュニティ / 相互行為 / 活動体験 / 場 / 複数言語話者 / 非言語行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、留学生のみならず日本人を含めた理系大学コミュニティの成員全てを複数言語話者と捉え、言語行動・非言語行動を含む総合的なコミュニケーション教育を「場」に合わせたマルチモーダルな相互行為の実践と位置づけ、教育方法を探求する。具体的な試みとして2016年度 基盤研究(C)「理系大学における複数言語使用者の「位置取り」を探るマルチモーダル分析」にて構想しパイロット版を作成したWebサイトACTION TUAT! https://tuataction.com/(以下、サイト)を完成し一般公開した。このサイトは、留学生が来日後、キャンパスで遭遇する場面でのやりとりを中心としている。開発の動機は、グローバル化が進む大学環境において、来日する時期、期間を問わず対応できる日本語支援システムが必要であると考えたことによる。1)留学生や外国人研究者が、言語のみならず、身ぶり手ぶりなどの非言語要素や、道具などその場その場でアクセス可能なリソースを最大限に生かしながらマルチモーダルにコミュニケーションを行い、キャンパスでの活動体験を広げていくのを支援すること、2)サイトに埋め込む形で、SNSのFacebookとInstagramを利用し、留学生のコミュニティづくりのためのプラットフォームを構築し、参加者同士、意見を交換したり、それぞれの体験を共有したりする活動を支援することを目的としている。 サイト公開後、どのような利用者がどのようにサイトを活用しているのかを明らかにするために、サイト閲覧の軌跡を追いながら、利用状況の全体像を把握した。また、本学で日本語授業を受講している留学生がサイトをどのように評価しているかを探るために質問紙調査を実施した。その分析をもとにサイトの改善点を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
来日後、キャンパスで留学生が遭遇する場面でのやりとりを中心としたWebサイトACTION TUAT!https://tuataction.com/を完成し、一般公開した。来日したばかりの留学生や外国人研究者がその場その場のリソースを最大限に生かしながらマルチモーダルにコミュニケーションを行い、日本での活動体験を拡充していくこと、また、そういった体験をサイト上で学生同士が共有することを支援できている。また、サイト公開後の10月に利用状況の調査分析、学習者に対する質問紙調査を行い、サイトの成果および問題点を明らかにした。その分析成果を2020年3月に開催された日本語教育方法研究会にて発表した。新型コロナウィルス感染拡大の懸念により、会場での口頭およびポスター発表は中止となったが、予稿集掲載にて学会発表として見なされた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、2019年度に実施した調査結果をもとにコミュニケーション支援サイトAction TUATのコンテンツの改善を行う。とくに学生同士の日本語での活動体験の交流の場がさらに活発化される工夫を試みる。新型コロナウィルス感染拡大の影響で対面のコミュニケーションがむずかしくなっている現状を踏まえ、計画を変更し、オンライン上のコミュニケーションが現実のコミュニケ-ションとなっている実態を生かしたコンテンツの作成を試みる。また、利用の実態調査も継続し、アンケ―ト調査を継続、また利用者にオンラインでのインタビューを実施することを計画している。具体的には、サイトを利用している留学生を対象に半構造化インタビューを行い、利用者がコミュニケーション支援システムをどのように活用し、情報共有やディスカッションを行っているかを探る。とくに、マルチモーダルなコミュニケーションという観点から特徴的な事象を抽出し分析する。一連のやりとりはオンラインシステムにて録画し、録音データを文字化する。その文字化資料を基に、特徴的事象のカテゴリー化および概念化を行う。
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