2023 Fiscal Year Research-status Report
日韓中の接触場面における対人関係構築とコミュニケーションスタイルに関する対照研究
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19K00707
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
許 明子 名古屋大学, 言語教育センター, 教授 (10322611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 絢子 国際大学, 言語教育研究センター, 講師(移行) (00808751)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 話題選択 / 会話展開 / 接触場面 / 初対面会話 / 縦断調査 / 視点 / 4コマ漫画 / ストーリー・テリング |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は日韓中の接触場面における初対面会話のデータを収集し、話題選択、会話展開について分析を行い、研究成果を発表した。特に、日韓、日中の初対面同士の4組に対して3か月間の会話調査を実施し、対人関係の形成と話題選択及び会話展開の変化について縦断的な分析を行った。日本語母語話者と韓国人学習者の会話データの分析を通して明らかになったことは、韓国人学習者は多様な話題を選択し、新出話題が多いのに対して、日本語母語話者は新出話題から関連内容の中話題、小話題へと派生する話題の選択が多いことが明らかになった。韓国人学習者は新出話題を選択する傾向がある反面、日本語母語話者は派生話題を選択する傾向があることから、話題間の流れが細切れになる場面が見られた。同ペアの2回目、3回目の会話調査では派生話題が増えているものの、日本語母語話者と韓国人学習者歓の話題選択のストラテジーに変化は見られなかった。分析結果は日本語用論学会、社会言語科学会で発表し、研究論文集に分析内容が掲載されている。 また、ある出来事、事態を描写するときの話し手の視点の捉え方について4コマ漫画の調査を実施した。日韓の事態の把握と話し手の視点の関係について分析を行った。韓国人学習者は話し手の視点が移動しやすく、動作を行う主体(動作主)に視点が置かれる傾向があることから動作の描写に重点が置かれた。一方、日本語母語話者は話し手に視点が固定される傾向がみられ、話し手の感情表現、事態の捉え方を表現するために受身文、行く・来る文の使用が多く見られた。その結果について韓国日本語学会において研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度。2022年度はCOVID-19の影響により、対面による会話調査を実施できず、オンラインによる調査を実施した。本研究課題は対人関係の構築と会話展開の関連性について調査を実施する必要があることから、当初の計画よりやや遅れている。2023年度は対面による会話調査を実施し、分析を行っており、順調に分析が進められている。今後研究成果をまとめて発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に実施した会話調査の分析を通して、日韓中のコミュニケーション・スタイルの類似点、相違点について考察する。話題選択と会話展開、話し手の視点と聞き手としての役割に焦点をおいて分析を行う予定である。 さらに、日韓中の断りに関する談話完成テストを実施し、言語場面における聞き手への負担度と話し手の言語表現形式の選択について調査を実施し分析する予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により対面による会話調査が実施できず、会話データの収集に時間を要した。2023年度に一部の会話データの収集が実施できたが、追加の会話調査を実施する必要がある。次年度は分析結果を学会等において積極的に公開する予定である。 次年度は研究期間最終年度であることから、研究成果をまとめて冊子で発表する予定である。
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