2021 Fiscal Year Research-status Report
大学における日本語自律学習支援者養成プログラムの開発
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19K00708
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
義永 美央子 大阪大学, 国際教育交流センター, 教授 (80324838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬井 陽子 大阪大学, 国際教育交流センター, 特任助教(常勤) (00868341)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日本語教育 / 自律学習 / 学習支援 / 日本語教育人材 / 学習者オートノミー / プログラム開発 / 言語学習アドバイジング / 教師オートノミー |
Outline of Annual Research Achievements |
1)第二言語の使用・学習・教育に関わるイデオロギーの検討:第二言語の使用・学習・教育とイデオロギーの関わりを論じた研究を概観し、モノリンガルバイアスや母語話者主義といったイデオロギーの存在を指摘した。また、より大きな社会制度に関わるイデオロギーである新自由主義と母語話者主義が結びつくことで、社会の中で優位に立つ人々とそうでない人々の階層化が進行していることを明らかにした。これらの結果から、言語教師が批判的認識を持ちながら主体的に教育実践に取り組むことの重要性を主張した論文1本(学術書所収)を公刊した。 2)対話を通した自律学習支援方法の検討:自律的な言語学習を支援するための方法の一つとして、アドバイザーが学習者に対して傾聴や助言を行う言語学習アドバイジングへの関心が高まっている。実際のアドバイジング場面の豊富な用例に基づき、学習者の「振り返りを促進する対話」がどのようにして成立するかを示したKato, S. and J. Mynard. (2016) Reflective Dialogue: Advising in Language Learning. NY: Routledge.の日本語訳を行い、『リフレクティブ・ダイアローグ-学習者オートノミーを育む言語学習アドバイジング』として刊行した。本書の出版によって、自律学習支援に関心のある研究者・教師が言語学習アドバイジングの理論と先進事例に関する情報に日本語でアクセスすることが可能になったことの意義は大きい。 3)自律学習支援プログラムの企画・実施および検証:日本語自律学習支援に関連する取組として、2つの授業およびポートフォリオを用いたワークショップを企画・実施した。また、日本語の自律学習を支援するオンラインサイトの充実を図った。これらの取組およびその成果を、発表3件、論文1本、実践報告1本として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要にも記載の通り、自律学習支援者に必要な知識・技能・態度の特定、理論的検討に基づくプログラム開発、およびその効果検証が概ね計画通り実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年4月現在、COVID-19の感染拡大は未だ収束しておらず、特に海外での調査や学会参加が困難な状況にある。この部分については、オンラインでの情報収集や学会参加などを積極的に行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
COVID-19の感染拡大により、多くの学会がオンライン開催になった。また、海外での現地調査も実施できず、計画通りの旅費執行が困難であった。令和4(2022)年度に出張が可能な状況になれば、学会参加等のための旅費として使用する。
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