2019 Fiscal Year Research-status Report
Survey of Japanese language skills from the perspective of career education
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19K00709
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
長友 文子 和歌山大学, 国際連携部門, 教授 (10263451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 佳古 和歌山大学, 国際連携部門, 特任助教 (60756261)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | キャリア教育 / 日本語教育 / 職場での日本語使用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本で学んだ元留学生や母国の日本語学科・学部出身者が、日本や海外(母国)で就職して、職場で実際に使い、また求められている日本語スキルの実態を調査分析して、「ビジネス日本語」を就職後の実態に対応したものとし、キャリア日本語教育を充実させる方法を見通すことである。具体的には、①日本語教育における「ビジネス日本語」の現状を把握した上で、②日本語を生かす職場に就職した元留学生等について、実際の職場での日本語使用状況や必要とされる日本語スキルをフォロー調査し、③受け入れ企業側のニーズの調査も加えて、④それらの実態調査の結果を基に、「ビジネス日本語」を、日本企業で日本人が使う社内語や営業敬語の習得にとどめず、就職後の日本語ニーズの実態に対応した有効な内容のものにして、キャリア教育、リクルート教育の観点から日本語教育の充実化に寄与しようとするものである。 今年度は、上記①、②、③の調査を行った。 ①については、国立大学を対象に「ビジネス日本語」をどのように授業で取り入れ、どのような教科書を使用しているかについてネットで調査した。また、市販のビジネス日本語関連の教科書を調べた。 ②と③については、2019年9月にベトナム国ハノイとホーチミンに出張し、ハノイ貿易大学とホーチミン師範大学で日本語を学んだ卒業生が就職している企業12社を訪問し、元留学生と企業の代表者にアンケート及びインタビューを行った。 また、帰国後、実習生を受け入れている工場を訪問し、実習生が必要な日本語と受け入れ側が必要とする日本語の調査(アンケート及びインタビュー)を行った。年度末に中間報告書を作成した。次年度はそれを論文あるいは口頭発表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象となる国内の国立大学のビジネス日本語関連の日本語授業の調査を予定通り行った。また、元留学生、彼らの受け入れ企業に対して、予定通り海外(ベトナム)での現地調査を実施することができた。 ハノイでは、ハノイ貿易大学の日本語学部副学部長の協力により、ハノイ貿易大学で日本語を学んだ学生の就職事情を聴くことができた。さらに、貿易大学で日本語を学んだ元学生が務める企業8社を訪問し、準備した内容のインタビューとアンケート調査を実施することができた。 またホーチミンでは、本学の協定大学であるホーチミン市師範大学に越日センター長に協力いただいた。同大学とは長きにわたり学術交流、学生間の交流を活発に行ってきており、今回も同大学日越センター長に企業を紹介していただいた。また、本学で学んだ元交換留学生にアンケート調査を行うことができた。 調査にあたっては、中小企業から大企業まで訪問することができ、企業の業種や規模により異なるが、①企業(職場)での日本人とベトナム人の比率②日本語ができるベトナム人従業員の割合③日本語使用の頻度とレベル④日本語スキルの習得と研修⑤日本語文化への関心度⑥英語と日本語⑦ベトナム語と日本語⑧ビジネス日本語⑨キャリア日本語へのアドバイス⑩その他について、詳しく調査できた。また、企業側だけではなく、元学生からは企業が求めている日本語とこれまで学んだ日本語がどのように異なるか、また、同じかなどについて、インタビューとアンケート調査ができた。 本年度の成果のうち海外調査に関して、「ベトナムの日系企業等における日本語使用の実態について」をまとめた。ただし、掲載を予定していた本学クロスカル教育機構研究紀要が、発行部局の都合により発行延期されている。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」に記載した未発表の成果報告を発表するとともに、「ビジネス日本語」関連の教材や文献資料の調査研究を引き続き行う。また、「ビジネス日本語」等、キャリア日本語の実践を行っている大学や教育機関の実態を調査する。 和歌山大学の元留学生が日本で就職したケースについて、職場での日本語使用の実態について、元留学生の側と就職先の側でのバイリンガル人材に期待される日本語スキル等について調査する。 新型コロナの状況により可能かどうか不明であるが、本年度のベトナムの調査により見出された新しい課題を含めて、再調査を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用が生じた理由と使用計画については、①本年度の国内での調査は、県内にとどまったため、旅費見込み額に繰り越しが生じた。次年度は県外の調査も行いたい。②分担者が2019年度で退職したため、繰り越しが発生したが、次年度においては、新たな分担者と国内外での調査項目を策定し、調査を継続する。
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