2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K00710
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
永田 良太 広島大学, 教育学研究科, 教授 (10363003)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ほめ / 日本語教育 / 教師 / 学習者 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度においては,本研究課題を明らかにするための基礎的な研究を行った。令和元年度の研究実績は以下の3点にまとめられる。 1.日本国内における日本人日本語教師と日本語学習者および日本語の教授経験がある中国人日本語教師と学習者,インドネシア人日本語教師と学習者のそれぞれに対して,「ほめ」に対する聞き取り調査を行った。これにより,日本語教育の現場において「ほめ」が教師と学習者にどのように意識されているかが明らかになった。また,特に,学習者からの聞き取り調査を通して,教室場面だけではなく,実際の会話の中で,学習者が「ほめ」をどのように用いて談話を展開しているかについて明らかにする必要があるという「ほめ」に関する発展的な課題も得られた。 2.日本語の「ほめ」に関する先行研究をまとめるとともに,その成果をレビュー論文として,論文化の作業を進めている。次年度には公刊を予定しているが,これにより「ほめ」に関する今後の研究に寄与できるとともに,これから本研究課題に取り組むにあたっても,分析・考察の観点を得るなど,本研究課題を遂行する上での基盤が整えられたと言える。 3.令和元年度は,共同研究として,日本語の授業談話の分析を行った。これを通して,教師が学習の様々な側面に配慮しながら授業を進めており,その中の一つとして「ほめ」が用いられていることが明らかになった。本研究成果は令和2年度中に学会で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「ほめ」に関する日本語教師と学習者の意識について,国内在住者を対象とした聞き取り調査が完了した。また,「ほめ」に関する先行研究をまとめるとともに,日本語の授業談話の分析も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は,予備調査として,日本国内に在住の,中国の日本語教師と学習者,インドネシアの日本語教師と学習者に対して,自らの教授経験と学習経験をもとに,「ほめ」に対する意識の聞き取り調査を行ったが,令和2年度はそれぞれの国で,現在,日本語を教えている教師および学んでいる学習者を対象として聞き取り調査を行う予定である。 また,インドネシアにおいて日本語の授業談話の採集を行う予定である。 さらに,教師と学習者を対象とした聞き取り調査の中で,学習者が実際の会話の中で「ほめ」をどのように用いているのか,という問題意識が得られた。この点についても,談話を採集するなど,検討していきたい。
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