2022 Fiscal Year Research-status Report
使用語彙から見た日中の学生の母語による意見文と中国人留学生の日本語意見文の比較
Project/Area Number |
19K00717
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
大野 早苗 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 教授 (40364955)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
莊 嚴 秀明大学, 観光ビジネス学部, 准教授 (70348415) [Withdrawn]
楊 虹 鹿児島県立短期大学, その他部局等【文学科】, 教授 (20571607)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 意見文 / 日中対照 / 中等教育 / 大学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本語話者の大学生が日本語で書く意見文、中国語話者の大学生が中国語で書く意見文(議論文)、さらに中国語話者で日本語学習者である大学生が日本語で書く意見文の特徴を明らかにしようとするものである。 上記3者の違いを検討するためには、中等教育の違いを知ることが重要である。そこで、2022年度は、日本と中国の高校で用いられる教科書を比較した。その結果、日本の教科書では、資料の引用や想定される反論を含んだ多層的な文章展開が教えられるのに対して、中国の教科書では、複数の視点から平行に議論を進めることや一方向的に議論を深めることが推奨されることがわかった。また、中国では、論証の方法として例商法が挙げられ、名言や箴言の引用が高く評価されるという特徴があることもわかった。さらに、学生の意見文に使用される語彙に影響を与える可能性のあることとして、日中の教科書で取り上げられるトピックに違いがあること明らかになった。日本では、社会情勢や時事問題などがしばしば取り上げられるのに対し、中国では文学を教材として観念的、情感的に議論をすることが多い。これは、中国語話者が中国語で書く意見文に、情緒的、叙情的な語が多く見られることと関連しそうである。この研究結果は、学会誌に論文として発表ずみである(大野・莊,2022)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍の影響で中国での資料収集ができなかったこと、また、中国から日本に入国する留学生が途絶えていたことが研究の遅れにつながった。オンラインで資料収集することに切り替え、研究を続けているが、十分に遅れを取り戻すに至っていない状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
中国語話者の中国語での意見文は、中国の大学教員に依頼して収集を完了しているため、分析に進む予定である。中国からの留学生数も回復してきており、今年度前半は中国語話者で日本語を学習している大学生が書いた意見文を収集することに集中し、その後、日本語話者および中国語話者の特徴との比較を行いたい。
|
Causes of Carryover |
中国からの留学生が滞っていたため、中国語話者である留学生に意見文執筆を依頼する際の謝金(謝品)分の大半が残っていた。次年度は、留学生を対象とする調査が実施できるみこみであり、謝金(謝品)の費用が生じる見込みである。
|
Research Products
(1 results)