2019 Fiscal Year Research-status Report
Cultual Propaganda for ''Greater East Asia Co-Prosperity Sphere''and the Japanese Language :Linkage of Expansion and Regurgitation between Japan,Manchuguo and the Mengjiang Regime
Project/Area Number |
19K00726
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
酒井 順一郎 九州産業大学, 国際文化学部, 教授 (10608269)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 徳王 / 「蒙疆政権」 / 蒙古聯盟自治政府制定語学検定試験規定 / 文部省 / 第1回国語対策協議会 / 山口喜一郎 / 宮島英男 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本・「満洲国」・「蒙疆政権」の三者間を包括的に捉え、これらが「大東亜共栄圏」の文化工作のネットワーク領域においてどのような日本語普及の諸問題が生じ、これがどのように膨張し、日本に逆流し、日本語の観念の曖昧さを露呈したのかを解明し、その後の日本語普及の挫折を考察することを目的とする。本年度は、「大東亜共栄圏」構想が日本語普及を積極的に展開させるためにどのように文化工作ネットワークを構築していったのか、以下の通り明らかにした。まず、「蒙疆政権」を検証した。徳王を中心とする「蒙疆政権」はモンゴル族の民族独立と近代化のため日本語教育は重要なものであった。モンゴル族だけでなく日本人も「蒙疆政権」の現地の実態に即した教育を行おうとした。教員及び教材が不足しており、内地、「満洲国」のものを採り入れようとし、ネットワークは構築できたが、「満洲国」と内地が考える日本語教育の「標準」が異なり、また「蒙疆政権」内でもこれらに反発する動きがあった。さらに、日本語を普及すればするほどモンゴル民族の文化の危機に至るという皮肉な一側面を持っていた。 次に、外地日本語教育から見た第1回国語対策協議会を検証した。文部省が外地の異民族に対する日本語教育に関わるようになったのが1939年からである。同年に第1回国語対策協議会を開催することになった。この会議において植民地・占領地統治機関の日本語教育関係者は積極的に発言をしている。特に山口喜一郎や宮島英男など外地の教育現場で関わっている日本語教師からは、普及させる日本語が確立されていないばかりでなく、外地の状況を理解していない文部省を始め内地側に対し不満を持っており、日本語教育政策に批判的であった。さらに、教授法も日本語教師内でも意見が分かれた。内地と外地の日本語教育に対する姿勢の温度差が露呈された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、「大東亜共栄圏」構想が日本語普及を積極的に展開させるためにどのように文化工作ネットワークを構築していったのかを考察するため、「蒙疆政権」、興亜院、文部省だけでなく、外務省、善隣協会、協和会、興亜院の関係資料及び新聞・雑誌等のメディア資料を調査し分析できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、日本・「満洲国」・「蒙疆政権」の三者の思惑と、どのように互いに協力・反発・妥協しながら日本語普及を考え実践していったのか、さらに日本を外した文化工作ネットワークの中で日本語普及をどのように実践したのかを明らかにする。日本軍、「満洲国」政府、「蒙疆政権」、日本語教育振興会、国語対策協会の関係資料、『新蒙古』『蒙疆新報』『満洲日日新聞』『満洲新聞』等、内外の新聞・雑誌等の資料も収集し分析する。
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Causes of Carryover |
理由として、①旅費が予想以上に安かったため、②人件費謝金が不要となったため、である。次年度使用額の使用計画は、資料収集のために使う。
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Research Products
(2 results)