2019 Fiscal Year Research-status Report
学習および学習支援を支える「態度」とは:概念の整理・体系化とその育成に関する研究
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19K00730
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宇佐美 洋 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (40293245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 祐子 新潟大学, 教育・学生支援機構, 准教授 (00313552)
文野 峯子 人間環境大学, その他部局等, 名誉教授 (10310608)
岡本 能里子 東京国際大学, 国際関係学部, 教授 (20275811)
森本 郁代 関西学院大学, 法学部, 教授 (40434881)
金田 智子 学習院大学, 文学部, 教授 (50304457)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | コンピテンス論 / 態度 / 技能 / 人材育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年世界各国で議論されている「コンピテンス論」,および,国外のコンピテンス論にも影響を受けながら日本国内で独自に発達してきた,学習指導要領等における「資質・能力論」を参照し,その相互関係を検討した。併せて,文化審議会 国語分科会 日本語教育小委員会が発表した「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)」で提唱された,日本語教育人材に必要とされる資質・能力の3要素(「知識」「技能」「態度」)について,以下のことを指摘した。 1) 各要素の定義が明確に示されていない 2)「技能」について,先行するコンピテンス論,資質・能力論における「技能/Skills」のいずれとも違う意味で使われている(抽象的な「資質・能力」というより,具体的な「行動」を挙げている) 3) 見かけ上「知識」「技能」「態度」が対等な関係として並列されているが,実は「技能(具体的に「できること」)が中心に据えられており,「知識」「態度」はそれを支える副次的な機能しか与えられていない。 さらに,学習指導要領も含む日本国内の「資質・能力論」では,「態度」に当たるものに,「人格的要素」と,「学習を管理するメタ学習的な要素」が混然一体として示されていることを指摘した。後者の習得については研修の目標として示すことは可能であるが,前者は,教育の最終的な「目的」として掲げることはできても,研修の具体的目標として掲げることは適切でない。「態度」の持つ様々な側面をさらに明確化・体系化していくとともに,教師教育に関わる様々な研修が,教師に必要な資質・能力の全体像の中の「どの部分に焦点を当てているのか」を明らかにしていくことの必要性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「態度」概念を,世界的なコンピテンス論も参照しつつ,知識・技能との関係について理論的な考察を行うことができ,考察の結果を論文として発表することもできた。しかしながらその考察の結果を十分に「体系化」して示すにはいたっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
態度概念を構築する下位概念を整理・体系化する作業をさらに進めるとともに,従来行われてきた(あるいはこれから行われようとしている)研修・ワークショップ手法が,その「態度」体系のどこに位置づけられるのかを明らかにしていく作業を行う。 現在コロナウイルス感染拡大のため,対面での研修・ワークショップが非常に実施しにくくなっているのは我々の研究にとってはチャレンジングな状況である。しかし,研修をテレワークという新しい形態で実施することにより,育成される資質・能力にはどのような違いが出てくるのか,ということが新たな研究課題に含まれる可能性がある。
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Causes of Carryover |
年度末,コロナウイルス感染拡大等により,予定していた出張,調査等が不可能となった。次年度も移動を伴う出張や,対面による調査等は困難になるものと思われるが,その分オンラインによる調査等を企画・実施する予定である。
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Research Products
(13 results)