2020 Fiscal Year Research-status Report
大学・日本語学校・地域における日本語教育コーディネーターの実践知の形成
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19K00739
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
御舘 久里恵 鳥取大学, 教育支援・国際交流推進機構, 准教授 (60362901)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 日本語教育コーディネーター / 資質・能力 / 実践知 / 人材養成 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目の2020年度は,2019年度に実施できなかった2か所での調査を行い,全データの分析を行った。 新型コロナウィルス感染症拡大の影響で,昨年度2名の調査を実施できなかったが,状況の改善が見られなかったため,オンラインでのインタビュー調査を行った。インタビューでは,調査協力者に対し日本語教育活動に関わるきっかけから現在までの活動と,その時々の課題や葛藤,解決の過程を中心に,半構造化形式で聞き取りを行った。 昨年度に実施した分を合わせた全てのインタビューデータ(7名分)について,質的データ分析ソフト(MAXQDA)によりコーディング分析を行い,日本語教育コーディネーターの実践における業務内容や役割,経験により得られた実践知やコーディネーターとしての能力について,共通するテーマを抽出した。 実践観察データについては,実践活動を,種類(教室活動/ミーティング/関連機関との連絡等の分類),形態(空間配置,参与者の位置,コミュニケーションの媒体等),構成(日本語コーディネーターを中心とした参与者の動きと関わり方・相互行為のあり方等)といった観点から分析し,日本語教育コーディネーターが果たしている役割とそこで発揮されている能力について,インタビューデータと照らし合わせて整理した。 日本語教育コーディネーターが発揮している能力として抽出されたのは以下の10点である。「学習者の状況・ニーズを把握する」,「必要な情報・知識を得る」,「機能的なシステムや体制をつくる」,「協働的関係をつくる」,「適性や事情を考慮し活かす」,「仕事や役割を任せる・振る」,「明確に素早く意思を示す」,「俯瞰する・長期的視野を持つ」,「割り切る(固執しない)」,「責任を自覚する」。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度に新型コロナウイルス感染症拡大の影響により調査を行えなかった2名については,2020年度にオンラインでインタビュー調査を実施することができた。 また,インタビューデータ及び実践観察記録のデータ分析を2020年度内に予定通り終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2021年度は,インタビューにおける調査協力者自身の省察から得られた,日本語教育コーディネーターとしての実践知や能力と,実践観察記録の分析から得られた役割や能力を照らし合わせて,各調査協力者の日本語教育コーディネーターとしての職能の形成のされ方をまとめる。 また,これまでに各所で実施されていた日本語教育コーディネーター養成の実施内容や,文化審議会国語分科会による日本語教育コーディネーターに必要とされる資質・能力及び養成の内容を,本研究の分析結果と照らし合わせ,その妥当性を批判的に検証する。 そして,日本語教育コーディネーターの養成のあり方についての指針や具体的な養成プログラム案を,ガイドラインの形で作成したいと考えている。
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